四国の玄関口・香川県は、いわずとしれた讃岐うどんの本場である。県内にはおよそ700〜800軒もの店が点在しており、その数はコンビニよりも多いとか。わずか200円そこそこで、その店独自のコシと旨みのある麺を味わえるのだから、香川を訪れた際にはうどん巡りをしない手はないだろう。そしてお腹が満たされたなら、次は心を満たす場所へ足を運んでみてはいかがだろうか。今では“純愛の聖地”として恋人たちに知られるその場所では、キュンとした甘酸っぱい思いが味わえるはずだ。 四国本土の最北端に位置する香川県高松市庵治(あじ)町。人口およそ6千人、瀬戸内海に囲まれたどこか懐かしい香りが残るこの小さな町で生まれたひとつの愛は、一体どれだけの人々の涙を誘ったことだろう。恋人を白血病で失った少年の、輝いていた愛の日々と再生を綴った「世界の中心で、愛をさけぶ」。小説としては300万部を超える異例のヒットとなったが、映画版では原作で描かれていないサクの「その後の物語」が新たに付け加えられ、より甘く切なく、失った愛の尊さを映し出す。 普段はのんびりと釣りを楽しむ人が見られる王ノ下沖防波堤は、アキとサクの運命の恋が始まる場所だ。成績も良くスポーツ万能、クラスの人気者のアキにちょっぴり引け目を感じているサク。そんな彼に「サクと話したかったから」と気負いもなく、ストレートに言ってしまう長澤まさみ(アキ)の笑顔がなんとも眩しくて、サクでなくたって惚れてしまうだろう。 |
1986年、まだ携帯もメールもない時代の彼らの恋を繋ぐのは一本のカセットテープ。好きな食べ物、好きな映画、今日の出来事などたわいもないことを吹き込んでは笑いあっていた2人だが、それはいつしか彼らを繋ぐ唯一無二のものとなっていく。白血病、恋人の死……、涙・涙の悲恋ものである。これまでも「愛と死をみつめて」や「ある愛の詩」など白血病は数多くの映画の題材になってきたが、最愛の人を亡くし、大人になってもなお彼女を想い続けるサクの愛とやるせなさに、いつしか私たちの胸もキリキリと締め付けられるに違いない。 『ねぇ、サク…』 アキの語りかける声に導かれるように、大人になったサクは再びアキとの思い出の地を巡り、やがて新たな一歩を踏み出していく。純粋に、ひたむきに相手のことを想った彼らの恋。その舞台となった庵治町では多くのカップルの姿を目にすることが出来る。海と山が見渡せる抜群のロケーションの中で、たまにはかつての叶わなかった恋、そして現在の恋にじっくり向き合うのも悪くない。 |
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監督:行定勲 片山恭一による小説『世界の中心で、愛をさけぶ』は、2001年の発売以来奇跡のロングセールスを続け、“携帯電話のなかった時代”の切なくもストレートな純愛が世代を超えた共感を呼んだ。そしてその原作が、2004年、『GO』『きょうのできごと』などで独自の映像世界を作り出してしてきた俊英・行定勲監督によって映画化され、社会現象とまで呼べる反響を引き起こす話題作となった。主人公に大沢たかお、主人公の恋人に柴咲コウを迎え、原作とはまた違う魅力を放っている。 朔太郎(大沢たかお)は自分の結婚に現実を感じられていない。そんな時、婚約者・律子(柴咲コウ)が突如、失跡する。律子の行き先が四国と知り、あとを追う朔太郎だったが、そこは初恋の相手・アキ(長澤まさみ)との思い出が眠る場所でもあり、朔太郎は次第にその想い出のなかに迷いこんでしまう。サク(高校時代の朔太郎:森山未來)とアキの初恋は甘く淡いものだった。一緒にラジオ番組に投稿したり、ウォークマンで声の交換日記のやりとりをしたり、無人島への一泊旅行をしたりと、すべての一瞬が永遠のように感じられた。ところがアキが不治の病であることが発覚し、運命が急転。サクは、アキをあこがれだったオーストラリアに連れていく計画を思いつく。そして、病院を抜け出した二人は、空港に向かう…。 |
「世界の中心で、愛をさけぶ スタンダード・エディション」
・発売日:発売中・発売元:博報堂DYメディアパートナーズ・小学館 ・販売元:東宝 ・価格:¥3,990(税込) |