太陽と思いきり遊ぶ夏がやってきた!毎年多くの海水浴客でにぎわいをみせる房総半島。その美しい海岸線沿いを走っていくと、人気の海洋レジャーパーク・鴨川シーワールドが見えてくる。太平洋を臨む絶好のロケーションのもと、シャチやイルカをはじめ約800種1万1千点の海の生物が迎えてくれるが、映画「ウォーターボーイズ」ではここのアイドル・イルカたちが妻夫木聡扮するさえない男子高校生たちを前に、目の覚めるような名演技を見せていた。 「スウィング・ガールズ」「ハッピー・フライト」など、ユニークな着眼点とユーモア溢れる作風が魅力の矢口史靖監督。彼の出世作ともいえる「ウォーターボーイズ」は、ひょんなことから文化祭でシンクロナイズド・スイミングをやることになった男子高校生たちのひと夏の青春が描かれる。いまでこそ“男のシンクロ”といえばダイナミックな演技を想像できるが、その当時周囲は「スネ毛ボーボーの男がなぜ?」と好奇の目一色。シンクロをやる当の本人たちだって、「なんで僕らが…」と嘆いている次第なのだが、いやはや「おっぱいバレー」しかり、美人教師というのは本当に罪な存在である。 |
さて、成り行きでシンクロをやるはめになった男子高生・鈴木だが、彼のモヤモヤした思いを吹っ切るきっかけをつくったのが、鴨川シーワールドのイルカたちだ。ここのサーフ・スタジオでは、毎回バンドウイルカとカマイルカが見事なコンビネーション・ジャンプを披露して観客を沸かせているが、このイルカたちの演技を見て、鈴木は自分たちもあんな華麗な演技がしたい、いつまでも中途半端でダメな自分を変えようと、竹中直人扮するハイテンションなイルカの調教師・磯村に弟子入りを志願する。トロピカルアイランドでは、そんな希望に燃える水泳部の5人がスミレナガハナダイ、海ガメ、カニ、ラッコなどの水槽を隅々まで磨くシーンが映し出されている。 この合宿中に偶然撮影された1本のテープから一気に部員が増え、いよいよ本格的なシンクロの練習が始まった唯野高校水泳部。実際、撮影前には厳しいオーディションを勝ち抜いた28人のボーイズたちが、1ケ月かけて合宿したという。そんな汗と涙の日々を経て、文化祭当日、ボーイズたちはついに前代未聞の男のシンクロナイズド・スイミングをお披露目する。軽快な音楽をバックに圧巻のパフォーマンスをみせるボーイズたち。そして彼らの動きに沸く観客たちの熱気。まだどこか初々しい妻夫木聡、玉木宏、金子貴俊らの達成感に満ちた姿は、シチュエーションは違えどまさに私たちが通ってきた青春の1ページそのものだ。 このダイナミックな“男のシンクロ”、実は埼玉県立川越高校で毎年9月に行われる文化祭がモデルになっている。 今年で22回目を迎えるという元祖ウォーターボーイズのシンクロも機会があればぜひとも見たいところである。 |
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監督:矢口史靖 「ひみつの花園」「アドレナリン・ドライブ」の矢口史靖監督が“男のシンクロナイズド・スイミング”をテーマに描くスポ根青春コメディ。モデルは男子校の埼玉県立川越高校の水泳部が実際に1986年から文化祭の演目として行っているシンクロ公演。1999年、プロデューサーが『ニュースステーション』(テレビ朝日)で放送された川越高校水泳部のドキュメンタリーを見て映画化を決意。後に矢口史靖監督が加わり2001年に映画化された。公開から徐々に口コミと地方キャンペーンで話題となり、大ヒット映画となった。 部員が高校3年生の鈴木(妻夫木聡)ひとりという廃部目前の唯野高校水泳部。そこへ突如やってきたのは若くて美しい女性教師・佐久間(眞鍋かをり)。それを知った男子たちはこぞって入部するが、佐久間先生はなんと“シンクロをやる”と言い出す。これにはさすがの男子たちもあっという間に逃げていった。逃げ切れなかったのは鈴木を含め落ちこぼれの5人。仕方なくシンクロの練習を始めるが…。 |
『ウォーターボーイズ スタンダード・エディション』
・発売日:発売中・発売元:フジテレビジョン/アルタミラピクチャーズ/電通 ・販売元:東宝 ・価格:¥2,940(税込) |