東西南北に長い日本列島、それぞれ気候も異なれば生活習慣も違うもの。というわけで全国47都道府県には、それぞれの風土に根付いたソウルフードというべき故郷の食べ物がある。たとえば大阪だったらお好み焼き、長野はおやき、九州ならがめ煮、そして沖縄ならゴーヤチャンプルーといったところだろうか。そしてここ香川といえば、何といっても讃岐うどん。映画『UDON』はそのタイトルが表すとおり、讃岐うどんの本場・香川で繰り広げられる笑いと涙のうどん物語である。 本州と四国をつなぐ瀬戸大橋。その四国側の玄関口に当たる香川県は一年を通じて穏やかな気候、瀬戸内海や讃岐富士といった美しい海や山などの自然に恵まれた土地だ。また、香川は日本で一番小さな県としても知られているが、その県内には東京のマクドナルドを遥かに凌ぐうどん屋が店を構えているという。いかに讃岐うどんが香川の人々に愛されているかがわかるだろう。 |
本作の主人公・香助は実家のうどん屋を嫌い、BIGになるためにNYへ旅立つが、夢破れおまけに借金を抱え再び故郷に舞い戻ってきた男だ。彼は借金を返すため地元のタウン誌でアルバイトを始めるが、ひょんなことからおいしいうどんを紹介する“麺通団”を結成。仲間たちと野を越え山越え街中をさまよい、穴場のうどん屋巡りを始める。看板もない店、まさかという建物がうどん屋だったなど、うどん屋巡りはまるで宝探しのようで我々も一緒に参加しているかのような楽しさを味あわせてくれる。 もともと、『踊る大捜査線』でも知られる本広克行監督は、舞台である香川県丸亀市の出身。それゆえ“うどん”をテーマに2時間超の映画をつくってしまったことからも、彼のうどん、そして故郷への強い愛がビシビシと伝わってくる。劇中では、うどん一筋・頑固一徹の香助の父親が切り盛りする松井製麺所から香川のシンボルである飯野山が幾度となく拝めるが、別名「讃岐富士」とも呼ばれ新日本百名山のひとつに選ばれるこの山の美しい佇まいは、うどんとともに我々に深い印象を残すに違いない。 香助の実家である松井製麺所こそ映画のために造られたオープンセットだが、香助と恭子がうどんと運命的な出会いを果たした三島製麺をはじめ、映画に登場するうどん屋は実際に実在するものばかり。香川を訪れた際には、小麦粉×水×塩のシンプルな材料が生み出す無限のマジックをぜひとも味わってほしい。そして、うどん屋巡りの途中でお腹いっぱい、苦しくなってしまったなら、うどん部の学生たちのように金刀比羅宮の石段を駆け上がってカロリーを消費してみてはいかがだろうか。 |
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監督:本広克行 日本映画史に名を刻んだ<製作:亀山千広×監督:本広克行「踊る大捜査線 THE MOVIE」シリーズ>のユニットが、「うどん」をテーマに最高のハートフル・エンタテインメントをつくり上げた。「ソウルフード・うどん」にまつわる数々の実話をベースに、本広監督の徹底したリサーチと自ら巡礼した200店を超える名店の数々によってつくられたオリジナルストーリー。主人公の香助を演じるのはユースケ・サンタマリア。他にも、小西真奈美、トータス松本、小日向文世らが、親しみのもてる個性的な登場人物たちを演じる。 BIGになるため讃岐からNYへ飛び出した松井香助(ユースケ・サンタマリア)。しかし夢半ばで挫折し、借金を背負っての凱旋(?)帰国。あたたかい仲間に歓迎されるも、頑固な父親(木場勝己)は「何しに帰ってきた!」と一喝。とりあえず借金を返すため、親友・庄介(トータス松本)の紹介でタウン誌で働くことに。香助のアイデアで編集部員の恭子(小西真奈美)と手がけたうどんコラムが大反響を呼び、日本中にうどんブームを巻き起こす。しかし、父親が突然倒れて…。 |
『UDON スタンダード・エディション』
・発売日:発売中・発売元:フジテレビジョン ROBOT 東宝 ・価格:¥3,990(税込) ・(C)2006 フジテレビジョン・ROBOT・東宝 |