何度となく映像化されている横溝正史の名作推理小説『犬神家の一族』。名匠・市川崑監督によって映像化された1976年から30年の時を経て、セルフリメイクされたのが本作品だ。 信州財界の大物、犬神佐兵衛の遺した莫大な遺産をめぐって繰り広げられる骨肉の争いの舞台に、選ばれたのは長野県の上田市。昭和二十年代のレトロな建物や街並みはセットと思いきや、すべて本物が使われたのだとか。冒頭、金田一耕助が道を尋ねるシーンで使用された柳町の風情ある路地や、犬神家の裏門として登場している上田高校の正門など、古きよき時代の面影を残す街のスポットが本編の随所に登場しています。 |
スリリングなミステリー作品でありながら、どこか上品さと美しさの漂う映像が綴られている本作、その理由はやはりメインのロケ地となっている仁科三湖だ。この作品の象徴とも言える「湖から突き出た足」のシーンが撮影されたのが仁科三湖の中でも最も広く深い、青木湖だ。白馬連峰をバックにしたこの美しい湖は、日本でも有数の透明度を誇る湖。本作のロケ地を選定する際、市川監督がこだわったと言われる「静寂と神秘性のある湖」という条件を見事に満たした、そのしっとりとした佇まいは、別名「思索の青木湖」の名にふさわしく、湖畔で物思いに耽りたくなるような文学的雰囲気を備えている。 小説の中の登場人物になったような気分にさせられる湖畔の雰囲気を味わいながら、湖の上を渡る爽やかな風と零れ落ちそうな緑を堪能してはいかがだろうか。 |
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監督:市川崑 1976年、横溝正史の名探偵推理小説を、名匠・市川崑監督が、卓越した映像美とセンスで撮り上げ公開された『犬神家の一族』は大ヒットを記録。時を越えて21世紀、映像美の巨匠・市川崑監督のもとに、正真正銘、夢のような豪華実力派キャストが集結し、超一級のエンタテインメント大作『犬神家の一族』の新たな製作が実現した。市川監督から「外せない、決定的なキャスト。」と指名された石坂浩二が27年ぶりに名探偵・金田一耕助を演じるほか、絶世の美女で事件の鍵を握るヒロイン・野々宮珠世を松嶋菜々子、戦争で顔に傷を負いゴムの仮面を被った男・犬神佐清(すけきよ)を尾上菊之助が演じている。さらに、佐清の母で犬神三姉妹の長女・松子役に富司純子、次女・竹子役に松坂慶子、三女・梅子役に萬田久子と、大物女優が顔を揃えた。 犬神財閥の創始者・犬神佐兵衛が莫大な遺産を残して死去。佐兵衛は遺言で、恩人の孫である野々宮珠世に(松嶋菜々子)全財産を遺すが、その相続条件は左兵衛の孫3人のひとりと結婚することだった。佐兵衛には腹違いの3人の娘、松子(富司純子)、竹子(松坂慶子)、梅子(萬田久子)がおり、それぞれに佐清(尾上菊之助)、佐武(葛山信吾)、佐智(池内万作)という息子がいた。3人の娘たちは、珠世を自分の息子と結婚させようと画策する。やがて、一族の不吉な争いを予期し、金田一耕助(石坂浩二)に調査を依頼していた法律事務所の若林が何者かに殺されるという第一の殺人事件を皮切りに、犬神家で次々と殺人が起こるのだった…。 |
『犬神家の一族 【通常版】』
・発売日:発売中・発売元・販売元:角川映画 ・価格:¥3,990(税込) ・(C)2006「犬神家の一族」製作委員会 |