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【今月の映画】たそがれ清兵衛
日本の原風景が映し出す、ありのままの姿
時代小説の一人者として、長年文壇に君臨した藤沢周平の短編小説を原作に、巨匠・山田洋次監督が構想に10年を費やして挑んだのが、この『たそがれ清兵衛』である。


第76回アカデミー賞の外国語映画賞にもノミネートされ話題となった本作の舞台は、原作者藤沢周平の出身地でもある山形県鶴岡市。作中には、藤沢周平ゆかりの地が数々登場し、監督の原作者に対する尊敬の念を感じずにはいられない。中でも清兵衛(真田広之)とその娘たちが、朋江(宮沢りえ)とともに訪れる祭りのシーンは、原作者と縁の深い湯田川地区にある由豆佐売神社(ゆずさめじんじゃ)にて撮影されている。地元出身作家作品のはじめての映画化を心待ちにしていたのか、このシーンで登場するたくさんのエキストラはほとんどが地元在住だったそうだ。


また、鶴岡市のある山形県庄内地方は、昔懐かしい日本の原風景をとどめている場所としても有名で、様々な時代劇の撮影場所として選ばれている。清兵衛が釣りをするシーンのロケが行われた赤川は、春は土手沿いに咲く約300本の桜が人々の目を楽しませ、夏には大規模な花火大会の場所となるなど、四季折々の姿が県外からの観光客の目も楽しませてくれる、街の名所となっている。


愛する人を守るため、無骨に生きた武士の姿を丁寧に描いた本作。頑なまでに自分の生活と家族を守る清兵衛の姿は、人間本来のシンプルな姿であるように感じる。そんなありのままの姿をそっと引き立てているのが、庄内地方にある日本の原風景なのではないだろうか。
ロケ地・赤川の魅力

一級河川に指定されている赤川は、釣りのスポットとしても名高く、アユやマスなどの川魚を求める釣り人たちの憩いの場でもある。河川敷にはゴルフ場もあり、晴れた日には月山・鳥海山の美しい稜線を臨むことができる。

●住所:山形県鶴岡市馬場町9-25

●Tel:0235-25-2111(鶴岡市観光連盟)

●URL:http://www.tsuruokakanko.com/

●アクセス:山形自動車道鶴岡ICから国道7号経由で15分

そんな父のことを、私は誇りに思っております
Staff&Cast

監督:山田洋次
出演:真田広之/宮沢りえ/田中泯/丹波哲郎/岸惠子/小林稔侍/大杉漣/吹越満/伊藤未希 他

Introduction

『男はつらいよ』『幸福の黄色いハンカチ』『学校』など、数々の心に残る傑作を生み出してきた日本映画界の巨匠・山田洋次監督が初めて挑んだ本格時代劇。原作は、今もなお圧倒的な人気を誇る時代小説の第1人者・藤沢周平。市井に生きる人々の葛藤と哀歓、そして郷愁をさそう美しい自然描写など、藤沢作品独特の世界が山田洋次の手によって映像化された。主演は、アクションからシリアスな役柄まで、その確かな演技力には定評のある日本を代表する演技派俳優・真田広之。また、幼なじみのヒロイン役を、香港映画『遊園驚夢 華の愛』で第23回モスクワ国際映画祭最優秀女優賞に輝いた、宮沢りえが演じている。

Story

幕末の庄内、海坂藩。下級武士・井口清兵衛(真田広之)は妻に先立たれ、2人の幼い娘と老母の世話をするために、勤めが終わるとすぐに帰宅することから“たそがれ清兵衛”と呼ばれていた。ある日、かつて想いを寄せていた幼なじみ・朋江(宮沢りえ)の危難を救ったことから剣の腕が噂になり、上意討ちの討ち手として清兵衛が選ばれる。清兵衛は辞退を申し出るが「藩命すなわち藩主の命令であるぞ!」と迫られ、やむなく承知する。その後、朋江への秘めた想いを打ち明けた清兵衛は、意を決して果し合いに向かうのだった…。

『たそがれ清兵衛』
・発売日:発売中
・発売元・販売元:松竹
・価格:¥3,990(税込)
・(C) 2002 松竹/日本テレビ/住友商事/博報堂/日販/衛星劇場


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