1977年に公開された『幸福の黄色いハンカチ』は、『男はつらいよ』シリーズの山田洋次を監督に迎え、高倉健、倍賞千恵子、武田鉄矢、桃井かおり、渥美清ら豪華キャスト陣の名演技が話題となり、当時の映画賞を総なめにした。そして、30年以上が経過した現代でも名作として語り継がれている作品である。 北海道を舞台としたロードムービーである本作のクライマックスシーンとして選ばれたのは、北海道のほぼ中央に位置する夕張市である。夕張はアイヌ語のユーバロ(鉱泉の湧き出るところ)を語源とする、その名の通り炭鉱の町としてかつて栄えていた場所。主人公勇作(高倉健)の妻が、夫を待ちわびて待っているその家からも、当時炭鉱夫たちが住んでいた炭鉱街の趣が感じられる。 撮影に使用された勇作の家は、『幸福の黄色いハンカチ 想い出ひろば』として保存され、ラストシーンで風にはためく印象的な黄色いハンカチののぼりや炭住などが、ロケ当時の姿のままで公開されている。再現ジオラマでは、勇作の住む炭鉱住宅の一間を再現、当時の夕張での生活をうかがい知ることができる。また、広場に訪れた記念として、見学者が書き残した「願い」の黄色いメッセージカードが壁や天井中に張られている見学者参加スペースも設けられている。ちなみにこのスペースには、欽也(武田鉄矢)が作中で乗っていた赤のマツダファミリアも展示されている。 |
北海道・夕張炭鉱の小さな家の庭先。風に揺れる何十という黄色いハンカチの旗の満艦飾。旅人が必ず帰って来るためにかけられたこのおまじないは、北海道の雄大な風景に映え、日本映画史上に残る印象的な名シーンとなったのだ。 |
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監督:山田洋次 1977年10月に公開され、あらゆる世代の観客を集め大ヒットを記録。その年の映画賞を独占した、日本映画史に残る不朽の名作。監督は、『男はつらいよ』シリーズの山田洋次が務めている。人間味溢れる主人公・島勇作を演じ、日本アカデミー賞で最優秀主演男優賞を受賞したのは、日本を代表する映画俳優・高倉健。また、健気な妻・光枝役を、演じるのは、山田映画に欠かせない女優・倍賞千恵子。そして、本作で映画デビューを果たした武田鉄矢と、山田組初出演の桃井かおりが失恋に悩む男女を演じている。 九州から上京し、下町の小さな工場で働いている欽也(武田鉄矢)は、年中失恋ばかりしていて、いつしか夢を車に託すようになっていった。必死に働いた欽也は、念願の真っ赤な新車を手に入れ、憧れの地北海道へ向かった。網走に着くと手当たり次第に軟派して、朱美(桃井かおり)という名の女性と出会う。彼女は、列車食堂の売り子で、同僚から自分の彼氏が浮気をしているという話を聞かされ、やけくそになって女一人で旅に出てきたのだった。それから2人は、海岸で炭鉱夫を名乗る中年男・勇作(高倉健)と知り合い、3人で旅することになる。しかし、勇作には6年3ヶ月の刑期を終え出所したばかりという秘密があった。 |
『幸福の黄色いハンカチ』
・発売元・販売元:松竹・価格:¥3,990(税込) ・©1977 松竹株式会社 |