昨年は人と人とのつながりを見つめ直すことの多い年だった。「ブサかわ犬」として一躍有名になった犬、わさおが主役の映画『わさお』も人と人、そして人と犬の絆を描いており、見る人の心にあたたかな気持ちが広がる作品となっている 青森県鯵ヶ沢町で焼きイカ店を営むセツ子は、店先で6匹の犬を飼っていた。そこに真っ白く長い毛で覆われた犬が現れる。エサをやってもなかなか食べようとしなかったが、セツ子はこの犬を「わさお」と名づけ、他の犬と同じように愛情を注いでいた。ある日、セツ子はわさおがいつも1人の少年を見ていることに気づく。あきらというその少年は以前シロという子犬を飼っていたが、その犬が原因で母親が交通事故に遭い、シロを手放す経験をしていた。そんな彼をわさおはいつも遠くから見つめていたのだった…。わさおが本人役で登場、セツ子を演じる薬師丸ひろ子はこの映画の主題歌も歌っている。 |
わさおが住んでいた森として登場するのが、白神山地のミニ白神である。世界遺産に認定された地域と同様の景観が保たれており、ブナ林や北限の天然杉、そしてニホンカモシカやイヌワシなど学術的にも重要な動植物を見ることができる。遊歩道があるため、気軽にトレッキングを楽しむことも可能で、1月中旬から2月いっぱいまでは雪のミニ白神を歩くこともできる(完全予約制)。 |
また、鯵ヶ沢には温泉もあり、冬に訪ねてきた人々の体を温めてくれる。鯵ヶ沢の温泉は約30万年前の海水が温泉として湧き出したもので、肌触りが柔らかい。この時期なら、雪を見ながら露天風呂につかる、というのも趣がありそうだ。日帰り利用が可能な温泉もあるので、気軽に訪れてみたい。 それから、この映画のロケ地を訪れるなら、やはり主役のわさおに会わないわけにはいかないだろう。普段は映画にも出てきた、七里長浜きくや商店にいるが、さまざまなイベントへの出演も多く、不在の場合もある。わさおの予定はブログ「わさお通信」で案内されている。マナーを守って見に行こう。 映画とは違う、冬景色の鯵ヶ沢も風情があって楽しい。温泉と人々のぬくもりに触れ、わさおに癒されれば、いい年が迎えられるはずだ。 |
|
|||||||||
監督:錦織良成 ブログでの紹介をきっかけに"ブサかわ犬"として人気になった青森県に住む"わさお"を主人公に、捨て犬だった過去から、飼い主と出会うまでを描いたドラマ。吹き替えなしで"わさお"自身が出演している。出演は『今度は愛妻家』『レイクサイド マーダーケース』の薬師丸ひろ子、他に『孤高のメス』の平田満、『ぼくのおばあちゃん』の伊澤柾樹、『スープ・オペラ』の鈴木砂羽など実力派が勢揃い。監督は『RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語』の錦織良成。鯵か沢町の壮大な自然と、本人役で出演するわさおの熱演に癒やされる。 わさわさして白い長い毛に覆われた大きな秋田犬が遠くの風景を見つめている。疲れ果て、足取りも重い。その犬が辿り着いた先は、セツ子(薬師丸ひろ子)が営む一軒のイカ焼き屋。その犬は、わさおと名付けられた。捨て犬を引き取っては育てているセツ子は、わさおに愛情をかけるが全く懐かない。この店に毎日の様に訪れる少年・アキラ(伊澤柾樹)は、飼い犬が原因の事故で母親が入院中だが、セツ子の店で動物と触れ合ことで寂しさを忘れることができた。やがてわさおは、変わらぬ愛情を掛け続けるセツ子に心を開いていく。豊かな自然に恵まれた青森県鯵ヶ沢町を舞台に、セツ子とアキラ、そして町興しのトライアスロン大会で賑わう町の人たちの優しさの中から生まれたストーリーは、奇跡の様な温かい感動に育まれてゆく…。 |
『わさお』
・発売日:発売中・発売元・販売元:ポニーキャニオン ・価格:¥2,940 (税込) ©2011「わさお」製作委員会 |