懐かしい場所を訪れると、それまで思い出すこともなかった記憶がよみがえってくる。映画『八日目の蝉』では、生後6ヶ月で誘拐され、犯人に育てられた主人公が、過去と向き合うために当時住んでいた小豆島を訪問。母親と信じていた犯人と過ごした日々の、さまざまな出来事を思い出す。 |
不倫関係にあった男性・秋山の子を中絶した希和子。しかし、実は同じ時期に秋山の妻が女の子を出産していた。希和子は赤ん坊を一目見て、秋山への気持ちにけじめをつけようとする。夫婦の家に忍び込み、赤ん坊を抱きしめる希和子。気がつけば、彼女はそのまま外に飛び出していた。こうして希和子は「薫」と名づけたその子と、逮捕されるまでの4年間、生活を共にする。…それから17年、大学生の「薫」こと恵理菜は両親とうまくやれず、誰にも心を開けずにいた。そんな中、恵理菜は自らの妊娠に気づく。相手は妻子ある男性。希和子と同じ状況だった…。希和子を永作博美、恵理菜を井上真央が演じ、苦しみを乗り越えようとする女性の姿を描いている。 |
小豆島のシーンで印象的なもののひとつが、「虫送り」だ。虫送りは火で稲につく虫を退治し、豊作を願う行事。撮影は、「日本の棚田百選」に選ばれた中山千枚田で行われた。美しい棚田と「火手(ほて)」と呼ばれるたいまつの火が織り成す風景は、見る者を幻想の世界へといざなってくれる。 |
また、希和子と薫が「ずっと一緒にいられますように」と祈る場面で登場するのが洞雲山寺である。ここは、小豆島に設けられた霊場「島四国八十八ヶ所」の中の一番札所。夏至の日の前後約50日間は、太陽の光によって岩肌に浮かび上がる「夏至観音」が見られるということだ。 それから、小豆島は手延べそうめんやオリーブの産地としても有名。そうめんは製造を体験できる工場もある。オリーブは毎年、3月10日〜15日まで小豆島オリーブ公園で「オリーブウィーク」というイベントが行われており、オリーブ染めなどのクラフト教室を開催している。 映画では記憶をたどる場所として出てきた小豆島だが、初めて訪れる人にも心に残るたくさんの思い出が作れそうだ。いろいろな場所を訪れ、自然に恵まれた島を満喫しよう。 |
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監督:成島出 誘拐犯の女と誘拐された少女との逃亡劇と、その後の二人の運命を描いた、角田光代原作の同名小説を映画化したヒューマン・サスペンス。監督は、『孤高のメス』など社会派エンターテインメント作品で定評のある成島出。出演は『太平洋の奇跡 フォックスと呼ばれた男』の井上真央、『酔いがさめたら、うちに帰ろう。』の永作博美、『乱暴と待機』の小池栄子、『僕の初恋をキミに捧ぐ』の森口瑤子、『白夜行』の田中哲司。"母性"をテーマに、それぞれが抱える複雑な思いを、時に繊細に、時に力強く描出。変化を遂げていく女たちの姿に引き込まれ、最後まで目が離せない。 不実な男を愛し、子を宿すが、母となることが叶わない絶望の中で、男と妻の間に生まれた赤ん坊を連れ去る女、野々宮希和子(永作博美)と、その誘拐犯に愛情一杯に4年間育てられた女、秋山恵理菜(井上真央)。実の両親の元へ戻っても、「ふつう」の生活は望めず、心を閉ざしたまま21歳になった恵理菜は、ある日、自分が妊娠していることに気づく。相手は、希和子と同じ、家庭を持つ男だった。過去と向き合うために、かつて母と慕った希和子と暮らした小豆島へと向かった恵理菜がそこで見つけたある真実。そして、恵理菜の下した決断とは…。 |
『八日目の蝉』
・発売日:発売中・発売元・販売元:アミューズソフト ・価格:¥3,990(税込) ©2011映画『八日目の蝉』製作委員会 |