映画で観た、あの場所に行ってみよう!ストラーダスクリーン名場面ロケ地ガイド
【今月の映画】殯の森
永遠に続くつながりを意識できる街
さまざまな形で続く、人のつながり。家族や親類、知人とのつながりは、たとえその人が亡くなっても何かの機会にふと思い出したり、お墓に手を合わせたりすることでいつまでも続くものだ。映画『殯の森』は、こうした目に見えない人との、時につらく、しかし暖かいつながりを描いた作品である。
奈良の山間部にあるグループホーム。ここでは軽度の認知症の人たちが、介護スタッフと共に生活している。新しいスタッフの真千子は子供を亡くし、離婚も経験していたが、懸命に生きようとしていた。ある晩、真千子はここで暮らすしげきのリュックサックを手に取る。亡くなった妻との思い出の品に触られ、真千子を突き飛ばすしげき。それでも日が経つにつれ、2人は心を通わせ、一緒にしげきの妻の墓参りに向かうまでになる…。2007年にカンヌ国際映画祭・グランプリを受賞したこの作品は、真千子をドラマ『カーネーション』主演の尾野真千子、しげきは役者初挑戦のうだしげきが演じている。
この作品のロケ地のひとつは、奈良市東部の田原地区。緑豊かな場所で、映画でも美しい茶畑や水田が登場する。『古事記』を編修した太安萬侶の墓や、春日宮天皇陵・光仁天皇陵といった奈良時代の天皇の御陵(=お墓)もあり、自然に恵まれた町を散策しながら歴史に触れることができる。また、田原地区では、木工や陶器などものづくりに携わる人たちの仕事場の一部や個人の収集品を公開し、地域の伝統の技や文化に触れる機会を提供する「田原やま里博物館」という活動も行っている。見学は予約をした上で参加しよう。
それから、映画に出てくる森の場面は春日山原始林で撮影された。春日山原始林は古くから春日大社の神山とされており、今も原始性が保たれている。鳥の声に耳を傾けながら遊歩道を歩けば、日々の喧騒を忘れてリラックスできるだろう。また、春日山原始林を訪れたら、春日大社にも立ち寄りたいところ。768年創立の春日大社は、春日山原始林や市内のほかの宮跡・寺院・神社とともに、「古都奈良の文化財」として世界遺産に登録されている。
古くからの歴史を感じられる街・奈良。遠い昔の先祖からのつながりを思いながら訪れたい場所だ。
「こうしゃんなあかんってこと、ないから」
Staff&Cast

監督:河P直美
出演:うだしげき/尾野真千子/渡辺真起子
ますだかなこ/斉藤陽一郎 他

Introduction

互いに愛する家族を失った認知症の老人と女性介護士の交流を通し、人間の生と死を厳かに見つめる人間ドラマ。監督・脚本は『万華鏡』『沙羅双樹』の河P直美。出演は『萌の朱雀』『クライマーズ・ハイ』の尾野真千子、これが映画初出演となるうだしげき、『愛のむきだし』『ヘヴンズ ストーリー』の渡辺真起子、『亡国のイージス』『東京公園』の斉藤陽一郎。2007年カンヌ国際映画祭で審査員特別大賞(グランプリ)を受賞。

Story

奈良県東部の山間地。自然豊かなこの里に、旧家を改装したグループホームがある。ここでは軽度の認知症を患った人たちが、介護スタッフとともに共同生活をしている。その中の一人、しげき(うだしげき)は、33年前に妻・真子(ますだかなこ)が亡くなってからずっと、彼女との日々を心の奥にしまい込み、仕事に人生を捧げ生きていた。そして、亡き妻の想い出と共に静かな日々を過ごしていた。そのグループホームへ新しく介護福祉士としてやってきた真千子(尾野真千子)もまた心を閉ざしていて…。

『殯の森』
・発売日:発売中
・発売元・販売元:NHKエンタープライズ
・価格:¥4,935 (税込)
©Kumie/Celluloid Dreams Productions/Visual Arts College Osaka