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【今月の映画】軽蔑
「五分(ごぶ)と五分」の愛を知る舞台
恋愛にはパワーが要る。双方が同じ熱量で相手を愛し、その気持ちを維持するのはたやすいことではないだろう。中上健次の同名小説を映画化した作品『軽蔑』は、若い男女が互いを「五分(ごぶ)と五分」で思い、純愛を守り抜こうとする物語だ。
新宿・歌舞伎町で遊び暮らすカズは、借金を帳消しにするためにポールダンス・バーを襲うよう命じられる。そのバーのダンサー・真知子に恋をしていたカズは、襲撃を実行した後、楽屋にいた真知子を連れ出し、自分の思いを告白。真知子もまた、常連客のカズが気になっていたのだった。そして2人は東京を離れ、カズの故郷で新しい生活を始める。懐かしい仲間たちと再会した彼は、地道に働きながら真知子と幸せに暮らすはずだったが、両親や親戚は真知子をよく思っていなかった…。主人公のカズと真知子を演じたのは、高良健吾と鈴木杏。監督は『余命1ヶ月の花嫁』『ヴァイブレータ』の廣木隆一。痛いほど切ない2人の愛を表現している。
この映画でカズの故郷として登場するシーンは、原作者・中上健次が生まれ育った町・和歌山県新宮市で撮影された。古くは熊野神社の総本山である熊野速玉大社の門前町として栄えた場所で、本作品ではその熊野速玉大社から近い仲之町商店街でもロケを行った。クライマックスでカズと真知子が再会するのがこの商店街だが、四季折々にさまざまなイベントを行い、地元の人たちを楽しませている。また、創業から100年以上という店もあり、長く親しまれる商店街である。
それから、カズと真知子をやさしく見守るマダムの部屋のシーンが撮影されたのが、アメリカ人宣教師・チャップマンが住んでいたチャップマン邸。1926年に建てられたこの洋館は、地元出身の建築家・西村伊作が設計した。彼は絵画や陶芸などにも造詣が深く、多くの芸術家たちと交流。日常の生活を芸術にまで高める「生活を芸術として」を実践した。なお、チャップマン邸に近い西村記念館は、西村の自宅として使われていたものである。 中上も西村も自分の考えを進める一方で、地元への想いも忘れなかった。そんな彼らが愛し、愛された新宮の町で、さまざまな形の愛情を考えてみるのもいいだろう。
ロケ地・和歌山県の魅力

新宮市には、世界遺産に登録されている熊野速玉大社と熊野古道がある。なお、熊野速玉大社を含む熊野三山では、日本サッカー協会のシンボルマークでもある八咫烏(やたがらす)を神の使いとして祀っている。

●住所:和歌山県新宮市春日1番1号(新宮市役所商工観光課)
●TEL:075-23-3333(新宮市役所商工観光課)
●URL:http://www.shinguu.jp/(新宮市観光協会)
●アクセス:
 東京方面から
 飛行機:羽田空港→南紀白浜空港〜バス/空港→JR白浜駅
     〜電車/JR紀勢本線 白浜駅→新宮駅
 大阪方面から
 車: 阪和自動車道田辺IC〜国道42号を三重県方面へ
    〜串本経由で新宮市へ
 電車:JRきのくに線 新大阪→新宮
世界は二人を、愛さなかった。
Staff&Cast

監督:廣木隆一
出演:高良健吾/鈴木杏/大森南朋
忍成修吾/村上淳/根岸季衣
田口トモロヲ/緑魔子 他

Introduction

作家・中上健次の異色ラブストーリーを『雷桜』の廣木隆一監督が映画化。『白夜行』『ノルウェイの森』の高良健吾と『吉祥天女』『まほろ駅前多田便利軒』の鈴木杏のW主演。そのほかの出演は『ジーン・ワルツ』の大森南朋、『雷桜』の忍成修吾、『海炭市叙景』の村上淳、『パートナーズ』の根岸季衣、『GANTZ』の田口トモロヲ。目標もなく町で遊びまわる若者、親から受け継いだ財産で地元に権力を奮う大人。世間から軽蔑されても仕方がない者たちのそれぞれの純愛を描く。

Story

夜の街で欲望のままに生きる男・カズ(高良健吾)と、歌舞伎町でダンサーとして生きる真知子(鈴木杏)。 孤独な二人は、一瞬で恋に落ちた…。衝動的なカズの情熱に流されるまま、二人はカズの故郷で新しい生活を始める。まじめに働くことを知らず、好き勝手に生きてきたカズは地方の資産家の一人息子だった。 「ここじゃ、五分と五分じゃいられない」引き裂かれる想いで、カズの元を去る真知子。愛すれば愛するほど、運命が二人を隔てていく。重くのしかかる非情な現実から、逃れられるのか。運命によって引き裂かれても、互いを強く愛しぬく…。

『軽蔑  ディレクターズ・カット DVD』
・発売日:発売中
・発売元・販売元:角川書店
・価格:¥4,935 (税込)
©2011「軽蔑」製作委員会