人生最期の瞬間、人はどんなことを考えているのだろう。それまでの日々に満足して旅立つ人もいれば、心残りを抱きつつ亡くなる人もいるかもしれない。映画『四日間の奇蹟』は、ある女性の最期の4日間に起きた奇蹟を描いた作品である。 |
左手の大ケガでピアニストの夢を絶たれた敬輔。彼は両親を亡くした少女・千織にピアノを教え、2人で施設の慰問をしていた。ある日、敬輔と千織は小さな島の療養センターを訪れる。招いたのは職員の真理子。彼女は敬輔の後輩で、敬輔は初恋の人だった。久しぶりの再会に胸をときめかせる真理子。ところが、千織と一緒に外にいた彼女が突然の雷に打たれ、意識不明に陥ってしまう。そして、軽傷で済んだ千織もいつもと様子が違っていた。実は真理子の魂が千織の体に宿っていたのだ。不思議な状況の中、真理子は人生最期の4日間を、千織の体を借りて精一杯生きる…。真理子を石田ゆり子、敬輔を吉岡秀隆が演じ、美しい島の姿が印象に残る作品となっている。 撮影が行われたのは、山口県角島。映画に登場した島へと続く橋は角島大橋といい、長さ1780メートルと、通行料無料の橋としては日本屈指の長さである。コバルトブルーの海にかかる橋を渡るときには、爽快な気分を味わえるだろう。 |
また、クライマックスのシーンが印象的な灯台は、島の最西端に建つ角島灯台だ。明治時代に建設され、1998年には「日本の灯台50選」に選ばれた。建物の内部には105段にも及ぶらせん階段があり、これを上がりきれば360度のパノラマビューを楽しめる。その隣にある灯台記念館は、建設に携わった3人のイギリス人が居住した洋館を改装したもの。角島の歴史や全国各地の灯台について学んでみるといいだろう。 |
角島を知るには、つのしま自然館もお勧めだ。角島を含む北長門海岸国定公園を分かりやすく紹介しており、新種のクジラであるツノシマクジラの骨格標本レプリカなども展示している。ほかにも、ここでは自然観察会が定期的に行われている。 人生の終わりを迎えるとき、誰しも多少は心残りがあるのかもしれない。でも、それを少しでも減らすために角島のような美しい景色に浸り、人生を楽しもう。 |
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監督:佐々部清 第1回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞した浅倉卓弥のベストセラー小説を『半落ち』の佐々部清監督によって映画化されて感動ラブストーリー。主演は不遇のピアニスト・如月敬輔に『隠し剣 鬼の爪』の吉岡秀隆、哀しい過去を引きずる療養所の女性職員・岩村真理子に『北の零年』の石田ゆり子。物語のキーパソンとなる少女・千織には、当時中学生であった尾高杏奈がオーディションで選ばれ、難しい役をこなした。 事件に巻き込まれピアニストとしての夢を絶たれた如月敬輔は、その際に助けた少女・千織にピアノの才能を見出し、両親を失くした彼女を引き取って、演奏しながら各地を廻っていた。そんな中、訪れた療養センターで高校時代の後輩の真理子と再会する。2人は仲を深めていくが、演奏会の直後、真理子と千織が落雷事故に巻き込まれてしまい、真理子は意識不明の重傷に。対して千織は軽傷で済んだが、その体には真理子の心が宿っていた…。 |
『四日間の奇蹟』
・発売日:発売中・発行元:東映ビデオ ・価格:¥3,990 (税込) ©Kumie/Celluloid Dreams Productions/Visual Arts College Osaka |