山を登るうちに興奮状態に陥り、恐怖心を抱かなくなることを「クライマーズ・ハイ」と言う。しかし本当に怖いのは、そこから解き放たれたときに一気に恐怖感が湧き出してきた場合なのだそうだ。2008年公開の映画『クライマーズ・ハイ』は、未曾有の航空事故の報道全権デスクを任された、新聞記者の奮闘を描いた作品。社内で指揮を執る彼は、まさに「クライマーズ・ハイ」の状態だったのだ。 |
1985年8月12日、群馬の北関東新聞の記者・悠木は同僚の安西と谷川岳の衝立岩を登ることにしていた。彼が会社を後にしようとしたそのとき、日航123便がレーダーから姿を消したというニュース速報が入る。そしてこのジャンボ機が墜落したことが分かると、悠木はこの事故を報道する全権デスクを命じられた。さまざまな決断を迫られる非常事態の中、社内ではさまざまな人間関係も浮き彫りになっていく…。主演は堤真一。作品はブルーリボン賞作品賞を受賞した。 |
この映画は、作品の舞台でもある群馬県を中心に撮影が行われた。北関東新聞として登場するのは前橋ビル。前橋駅から歩いて約10分の場所にあるこのビルは、映画に出てきた歩道橋と合わせて、作品を見た人が臨場感を味わえる場所。ここからほど近い前橋公園には、近代和風建築の文化財・臨江閣のほか、昔懐かしい雰囲気の遊園地・るなぱあくなどがあり、リラックスした時間を過ごせそうだ。 |
また、映画の冒頭に登場する土合駅は、新前橋駅から電車で約1時間20分。下りホームから改札までが486段の階段でつながっており、「日本一のモグラ駅」と言われる。2人が登るはずだった一ノ倉沢衝立岩は岩場の難所だが、谷川岳はロープウェイやリフトを使えば、初心者も楽しめる山だ。今の時期は、ロープウェイを降りたところに広がる天神平スキー場へ向かう人も多いが、谷川岳のある水上は温泉地としても有名なので、スキーの疲れを癒すにはもってこいだろう。 |
日常の中でも、ひとつのことに没頭しすぎると周りが見えなくなり、感覚が麻痺することがある。そんなときには、自分のスイッチをオフにする旅に出てみよう。いいリフレッシュで気分を変えられるだろう。 |
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監督:原田眞人 1985年8月12日に起こった日航機墜落事故を、当時、地元紙の記者として取材した経験をもつ作家の横山秀夫が書き上げた同名小説を映画化。事故によって混乱する現場や、興奮状態に陥った人々、そして加熱する報道合戦など臨場感あふれる映像を『わが母の記』の原田眞人監督が描き出した。主演は『プリンセス トヨトミ』の堤真一。その他、『ゴールデンスランバー』の堺雅人や、『はやぶさ 遥かなる帰還』の山崎努などの実力派俳優陣が脇を固める。 群馬県御巣鷹山で起こった世界最大の航空機事故。「北関東新聞」の記者である悠木(堤真一)は事故の全権デスクを任される。編集局の県警キャップ、佐山(堺雅人)たちが現地へと飛ぶも、社内に渦巻く複雑な人間関係と編集局と販売局の対立が原因で、佐山の現場レポートは握りつぶされてしまった。そんななか、一人の記者が墜落の原因に関するスクープのネタを得る。自身がクライマーズ・ハイに陥っていることを自覚していた悠木は確実なウラを取るよう命じるが…。 |
『クライマーズ・ハイ』
・発売日:発売中・発売・販売元:(株)ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント< ・価格:¥1,280 (税込) ©2008 『クライマーズ・ハイ』フィルム・パートナーズ |