夫婦の関係について話すとき、相手を「空気のような存在」と例えることがある。長く暮らしていると、互いの存在が当たり前になり、気遣いもなくなってしまいがちだが、時には改めて相手を思いやることも必要なもの。映画『RAILWAYS 愛を伝えられない大人たちへ』は、定年間近の男とその妻が、心のすれ違いを経て、第二の人生を歩みだすまでを描いた作品である。 |
35年間、電車の運転士として働いてきた滝島徹。定年を1か月後に控えた彼は、退職後は妻・佐和子と旅行でもしながら楽しく暮らそうと考えていた。しかし、佐和子には別の考えがあった。実は、結婚を機に辞めた看護師に復帰しようと思っていたのだ。2人は口論となり、佐和子は家を出る。そして、1人で生きていこうと徹に離婚届を手渡すが…。『RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語』に続く『RAILWAYS』シリーズ第2弾のこの作品では、三浦友和と余貴美子が夫婦役を演じている。
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映画の撮影は富山県内で行われた。徹が退職を前に先輩や同僚と出かけた宇奈月温泉は、富山市内から電車で約1時間半。宇奈月温泉駅前では、訪れた人を温泉噴水が迎えてくれる。この温泉のお湯は科学的にも証明された「美肌の湯」。足湯もあり、気軽に試すことができる。また、この地は黒部峡谷の玄関口でもある。4月下旬から運行再開となる(全線での運行は5月から)黒部渓谷トロッコ列車に乗って、沿線に広がる黒部の大自然を満喫してみよう。 |
それから、徹と佐和子の思い出の場所として何度か登場するのが、富山市西部の呉羽山公園展望台だ。市のキャッチフレーズ「立山あおぐ特等席。富山市」が表すように、富山市内には立山を仰ぎ見る「特等席」が11か所ある。呉羽山公園展望台もその1つで、市街地の向こう側に立山連峰の大パノラマを見ることができる。またこの呉羽山には、富山の歴史が学べる富山市民俗民芸村もあり、こちらも是非見学してみたい場所だ。
「空気のような存在」は、本来ならば「空気のように、人生になくてはならない存在」という意味であるべきだろう。いつもと違う環境の中で互いを見つめ直す…そんな旅も時には必要かもしれない。 |
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監督:蔵方政俊 鉄道にまつわる人々の人生を描いた"レイルウェイズ"シリーズ。第2弾となる本作は富山地方鉄道を舞台に、人生の節目に直面した夫婦が第2の人生を模索する姿を、前作『RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語』でチーフ助監督を務めた蔵方政俊監督が感動的に描く。人生の分岐点に立つ夫婦を『アウトレイジ ビヨンド』の三浦友和と『ツレがうつになりまして。』の余貴美子が演じた。共演は『ペンギン夫婦の作りかた』の小池栄子、『時をかける少女』の中尾明慶、『東京家族』の吉行和子など。 富山地方鉄道の運転士・滝島徹(三浦友和)はずっと仕事一筋で過ごしてきたが、気が付けば定年退職間近。専業主婦として徹を支えてきた妻の佐和子(余貴美子)も55歳になり、夫婦は第二の人生を迎えようとしていた。定年後の人生は、妻のためにと思っていた徹だったが、佐和子は結婚を機に辞めた看護師の仕事を再開すると宣言。2人は口論となり、佐和子は家を飛び出してしまう。そばにいるのが当たり前すぎて、本当の気持ちを言葉にできないふたり。果たして夫婦がたどり着いた第二の人生の、思ってもみなかった出発地点とは…? |
『RAILWAYS 愛を伝えられない大人たちへ』
・発売日:発売中・発売元・販売元:松竹 ・価格:¥3,990 (税込) ©2011「RAILWAYS 2」製作委員会 |