人は毎日の生活にばかりあくせくしがちで、歴史に想いを馳せることはそう多くない。しかし、今の平和な生活は、過去のさまざまな人々の犠牲や努力によって成り立っている。『男たちの大和/YAMATO』は、かつて戦艦大和の乗組員だった老人の目線で、兵隊たちの壮絶な生き様を描き、その姿を今に伝える作品である。 |
鹿児島・枕崎で漁師をする老人、神尾。2005年4月、彼のもとに内田真貴子という女性が訪ねてくる。彼女は戦艦大和が沈んだ場所に船を出してほしいと神尾に懇願。実は真貴子は、大和と運命を共にした内田二曹兵の娘だった。かつて自らも新兵として大和に乗っていた神尾。しかも、内田二曹兵にはさまざまな場面で救われていたのだった。船を出す神尾の脳裏に浮かぶのは、60年前の戦艦大和と乗組員たちの姿。苦境に立たされた彼らの戦いは壮絶なものだった…。内田役は中村獅童、現在の神尾は仲代達矢、60年前の神尾役は松山ケンイチ。また、真貴子は鈴木京香が演じた。
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この映画は広島県内でロケが行われた。戦艦大和から乗組員が上陸するシーンは、呉市の公園、アレイからすこじまで撮影。現在は誰もが自由に過ごせる場所だが、周りには海軍の施設として使われていた赤レンガの旧呉海軍工廠(こうしょう)が残っているなど、かつての街の面影がしのばれる場所である。ここは日本で唯一、潜水艦を間近に見ることのできる公園としても有名。すぐ近くの呉基地係船掘では、毎週日曜日に艦艇公開を行っている。 |
また、真貴子が大和の資料を見るシーンは、大和ミュージアムで撮影された。大和ミュージアムは日本の近代化に貢献してきた呉の歴史と、造船や製鋼などの科学技術をかつての人々の生活や文化に触れながら紹介。過去を振り返るだけでなく、子供たちが将来に夢や希望を抱くことのできる「呉らしい博物館」を目指している。ミュージアムのシンボル、10分の1戦艦大和が展示されているほか、サイエンスショーやワークショップも開催されており、幅広い年齢層の人々が楽しめる場所を提供している。
日常を離れ、自分が生まれる前の時代の出来事や人々を思い浮かべる…。そんな時間を呉で作るのも悪くないだろう。 |
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監督:佐藤純彌 戦後60年記念作品として、辺見じゅんの同名傑作ドキュメントを基に製作された超大作。当時、世界最大最強を誇った戦艦大和の乗組員たちの生き様を、映画『桜田門外ノ変』の佐藤純彌監督が描いた。撮影には約6億円をかけて、大和の艦首から艦橋部までを原寸大で再現。海上自衛隊などの協力を得て約3ヶ月の長期撮影が敢行された。出演は『交渉人 THE MOVIE タイムリミット 高度10000mの頭脳戦』の反町隆史、『レッドクリフ』シリーズの中村獅童、『セカンドバージン』の鈴木京香、『BROTHER』の渡哲也、『ツナグ』の仲代達矢など豪華キャストが揃った。 2005年4月。漁師である神尾(仲代達矢)の元に内田(鈴木京香)と名乗る女性が現れる。彼女に乞われて、戦艦大和が沈んだ場所まで船を出すことになった神尾。その胸には鮮やかに、そして切々と60年前の光景が甦っていた…。昭和16年に始まった太平洋戦争はミッドウェイ海戦での大敗以来、日本軍が劣勢であった。そんな昭和19年、若き日の神尾(松山ケンイチ)ら特別年少兵たちが戦艦大和に乗艦した。烹炊所班長の森脇(反町隆史)や機銃射手の内田(中村獅童)に助けられながら、厳しい訓練に耐えぬく神尾たち。しかし初の実戦で、連合艦隊が事実上の壊滅。厳しい行く末に若者たちはたじろぎ、苦しむのだった。 |
『男たちの大和』
・発売日:発売中・発売元:東映ビデオ ・販売元:東映 ・価格:¥3,990 (税込) ©2005「男たちの大和/YAMATO」製作委員会 |