春の桜、秋の紅葉…人は決まった時期だけに美しく咲き乱れ、散っていく様子に魅かれ、あこがれる。それは自然だけでなく、小説や映画で登場する男女の恋愛にも言えるのかもしれない。映画『Dolls[ドールズ]』は、そうした3つのはかない愛の姿を、四季の美しさを取り入れながら描いた作品である。 |
周りに後ろ指を差されながらも、赤い紐でつながったままともに人生を歩む松本と佐和子。今はあてもなくさまようだけの2人だったが、元々は結婚の約束をしていた仲。しかし、松本は社長令嬢との縁談が決まり、佐和子を捨てる。挙式当日、彼女が自殺未遂をはかったことを知った松本は彼女の元へと向かうのだった。そして、年老いたヤクザの親分と若い頃の恋人との約束を信じ続ける女性、さらには引退を余儀なくされたアイドル歌手と彼女の姿を目に焼き付けた青年もまた、それぞれの愛に生きていた…。2002年に公開されたこの映画は、『BROTHER』に続く北野武監督の作品。松本を西島秀俊、佐和子を菅野美穂が演じた。 |
作品には日本の四季折々の自然が登場するが、春の桜のシーンは埼玉県幸手市の権現堂公園内にある権現堂堤でロケが行われた。権現堂堤は度重なる水害に見舞われてきたが、そのたびに修復をし、現在に至っている。今では春は桜と菜の花、梅雨の時期には紫陽花、初秋には曼珠沙華、冬には水仙が楽しむことができる。ちなみに、今年は10月6日まで「第8回幸手曼珠沙華まつり」が開催されている。近隣の人々の憩いの場であり、広い敷地内を犬の散歩やウォーキングのために訪れる人たちも多い。 |
また秋の紅葉は、同じ埼玉県内の飯能市にある白雲山鳥居観音で撮影された。広さ約30ヘクタールを誇り、その中には本堂・玉華門・仁王門・大鐘楼・平和観音のほか、『西遊記』の三蔵法師の霊骨が祀られている、玄奘三蔵塔などがある。また、こちらも年間を通してさまざまな花を楽しむことができる。これから見頃を迎える紅葉は10月下旬から11月中旬がピークだという。 人工的な色にも美しさはあるが、毎年限られた時期だけにしか見られない自然の彩りも魅力的なもの。是非、彩の国・さいたまで自然が織り成す色に触れてみよう。 |
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監督:北野武 『アウトレイジ』シリーズの北野武監督が『あの夏、いちばん静かな海。』以来、11年ぶりに描いたラブストーリー。3組の男女の物語が展開し、それぞれの"愛の形"を描き出した。3組の男女を演じるのは、『大奥 永遠 右衛門佐・綱吉篇』の菅野美穂と『ストロベリーナイト』の西島秀俊、『CASSHERN』の三橋達也と『「わたし」の人生 我が命のタンゴ』の松原智恵子、『ワイルド7』の深田恭子と『雨の町』の武重勉。共演には『ヘルタースケルター』の大森南朋、『箱入り息子の恋』の大杉漣、『星守る犬』の岸本加世子など実力派俳優陣が顔を揃えた。 忠兵衛と梅川の文楽人形は、近松門左衛門の『冥土の飛脚』の出番を終えて静かに体を休めている。その視線の先に3つの愛の物語が展開する。松本(西島秀俊)は佐和子(菅野美穂)と結婚の約束を交わしていた。ところが、社長令嬢との縁談が決まり、佐和子を捨ててしまう。ショックを受けた佐和子は自殺未遂の末、記憶喪失に陥る。年老いたヤクザの親分(三橋達也)は、若い頃に愛した良子(松原智恵子)との思い出の場所に立ち寄った際に、思いがけず彼女と再会を果たすのだった。交通事故で芸能界引退を余儀なくされたアイドル・春奈(深田恭子)は、ある日、デビュー当時からの熱心なファンである温井(武重勉)と出会い…。 |
Dolls[ドールズ]
・発売日:発売中・発売・販売元:バンダイビジュアル ・価格:¥3,990 (税込) ©2002 バンダイビジュアル・TOKYO FM・テレビ東京/オフィス北野 |