さまざまなものを背負い、たった一人で何かに打ち込む。大人になればそんなときもあるかもしれないが、それがまだ中学生だとしたらあまりにつらく、そして寂しくもある。『バッテリー』は孤独を抱えた中学生のピッチャーが仲間と出会い、成長する姿を描いた映画である。 県の少年野球で名を馳せたピッチャー・巧。彼は中学入学を前に、両親や弟とともに別の町へと引っ越すことになった。巧が1人でトレーニングをしていると、同い年の豪に声をかけられる。豪は地元の野球チームのキャッチャーで、巧の県大会での活躍を見ていた。人を寄せ付けない雰囲気の巧と違い、豪は人懐っこく、巧の球を受けさせてほしいと言う。速くて威力のあるそのボールに最初はてこずる豪だったが、5球目にしてキャッチできるようになり、巧は豪とともに中学でバッテリーを組むのだった…。監督は『おくりびと』『天地明察』の滝田洋二郎。主演の林遣都は本作でスクリーンデビューを果たした。 |
撮影は物語の舞台でもある岡山県で行われた。巧たち一家が新たな生活を始める町を見下ろしているのは「ループ橋展望台」、キャッチャーの豪とのバッテリーを再結成するシーンは「なりわ運動公園」で撮影された。映画に登場する「新田市」は架空の町で、実際の展望台は県の中西部・高梁市にある。高梁市は「備中の小京都」と呼ばれ、市内には備中松山城を始めとする、過去の歴史や文化がわかる建物が点在している。作品は、体の弱い巧の弟のためもあってこの地に引っ越してくるというストーリーになっているが、実際の高梁市も山々に囲まれ、市の中央部を高梁川が流れるという、自然に恵まれた土地である。 |
また、巧と豪が初めて出会うシーンが撮影されたのは、県の北東部・西粟倉村にある、粟倉神社。長い歴史を誇るこの神社には、250年以上続く伝統の獅子舞があり、毎年10月第2日曜日に行われる秋季例大祭で奉納されている。また、ここには樹齢800年と言われるヒノキの大木もあり、映画の中でも見ることができる。なお、獅子舞は西粟倉村無形文化財に、ヒノキは県と村の文化財にそれぞれ指定されている。 信頼できる人との出会いは何にも変えがたい。人生でターニングポイントとなったときにそばにいてくれた人たちのことを思い、町を訪ねてみよう。 |
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監督:滝田洋二郎 高校生から大人まで年齢や性別を問わずあらゆる人々を感動させた、あさのあつこのベストセラー小説「バッテリー」を映画化。投手としての天才的な能力を持ちながら、野球チームでも家庭でも孤立してしまう少年・巧を演じるのは、3000人のオーディションを勝ち抜いた新鋭・林遣都。また、ヒロインの繭を、角川映画とソニー・ミュージックが共同実施したオーディション、"ミス・フェニックス"でグランプリを受賞した蓮佛美沙子が演じている。そして、かつて高校野球の名監督だった巧の祖父役を『妖怪大戦争』の菅原文太、巧の母を『世界の中心で、愛をさけぶ』の天海祐希、巧の父を『タイヨウのうた』の岸谷五朗、巧のチームの鬼コーチを「華麗なる一族」の萩原聖人と、ベテラン俳優たちが物語を盛り上げる。監督は『陰陽師』シリーズや『阿修羅城の瞳』などの、滝田洋二郎。 もうすぐ中学生になる原田巧(林遣都)は天才的ピッチャーだが、球が速すぎて捕手も捕球できず、野球部でも孤立した存在。また、弟の青波(鎗田晟裕)は兄を慕っているものの、母親は病弱な弟を彼より優先し、家族の中でも孤立しがちだった。だが、中学入学目前の春休み、一家は弟の健康のため岡山県に引っ越し、巧は初めて自分の球を受けることができる捕手・豪(山田健太)に出会う。しかし野球部に入学した巧を待ち受けていたのは、監督による徹底した管理野球と、彼の才能に嫉妬する先輩たちによるイジメだった。巧はそれらに屈せず自分を貫こうとするが…。そして、野球部の存続をかけた他校との対抗試合の日がやってくる。 |
『バッテリー』
・発売日:発売中・発売日:発売中 ・発売元・販売元:KADOKAWA ・価格:¥3,800(税抜)+税 ©2007「バッテリー」製作委員会 |