人はいくつになっても恋を求め、誰かと寄り添い、生きていきたいと思うようだ。『パーマネント野ばら』はそうした肉食系女子というより、パンチパーマの男好きのおばちゃんたちのたまり場となっている美容室「パーマネント野ばら」と、離婚して帰ってきた「野ばら」の娘、なおこの恋愛を描いている。 |
海沿いの町の美容室「パーマネント野ばら」は、なおこの母・まさこが切り盛りしている。お客たちの話題と言えば男のことばかり。思い出話から、実際にデートに出かけてなんとか最終段階まで持ち込もうと考えるつわものまでいる。しかし、なおこはそうしたお客たちとは違い、密かにある男性と恋愛をしていた。相手は高校時代の教師・カシマ。ところがこの恋には悲しい秘密が隠されていた…。監督は『桐島、部活やめるってよ』の吉田大八、なおこは菅野美穂が演じている。 |
映画の中では、「海沿いの町」としか出てこないが、撮影は高知県南西部にある、宿毛市を中心に行われた。なおこが魚を鍋いっぱいにもらうシーンは、すくも湾中央市場で撮影された。映画にも出てくる魚、きびなごはさまざまな食べ方があり、宿毛湾漁業協同組合では、4月〜5月頃に取れたてのきびなごの発送もしている。ほかにもここでは、宿毛の特産酢ミカン「直七」を食べて育った、直七真鯛が有名だ。色が美しく、旨み成分が確保されておいしいうえに栄養もたっぷり。ぜひ、現地で味わいたいところだ。 |
また、作品中にはたびたび海が登場するが、11月中旬から2月中旬にかけて出会える風物詩がある。それがだるま夕日。海の上にだるまのように浮かぶ太陽は見ものだが、3カ月のうち20回程度しか見ることができず、しかもそのうち完ぺきなだるまの形になるのは10回ほどというから、運もなければ見られない、かなり貴重な風景だ。それでもだるま夕日を待ちながら、海辺でぼんやりと過ごす時間も楽しいに違いない。なおことカシマのように、恋人同士でその時間を待てればなおいいだろう。 恋にはさまざまな形がある。惚れっぽくて、どこか切ない女たちが登場する映画『パーマネント野ばら』のロケ地で、彼女たちの思いを感じながら自分の恋を探してみよう。 |
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監督:吉田大八 西原理恵子の叙情的傑作と評される同名コミックを実写映画化。恋の痛みを知るすべての人を包み込む、珠玉の感動作が誕生。監督は、『腑抜けども、悲しみの愛をみせろ』がカンヌ国際映画祭の批評家週間部門に正式出品されるなど国際的にも評価の高い吉田大八。主演にはその独特の雰囲気で唯一無二の存在感を放つ女優・菅野美穂。共演は、菅野演じる主人公なおこの友人に『ペンギン夫婦の作りかた』の小池栄子、『潔く柔く』の池脇千鶴、さらになおこの母に『陽だまりの彼女』の夏木マリ、その夫に『任侠ヘルパー』の宇崎竜童、そして恋人カシマ役に『るろうに剣心』の江口洋介と、強力な役者陣が集結した。 ある田舎の漁村に存在する唯一の美容院「パーマネント野ばら」。離婚したなおこ(菅野美穂)は、母(夏木マリ)の経営するこの美容院に娘とともに身を寄せている。美容院は町の女たちの「たまり場」と化していて、あけっぴろげに自分たちの悲哀や愚痴をこぼし合い、罵り合い、笑い合っていた。なおこの2人の友人も男運が悪く、みっちゃん(小池栄子)はフィリピンパブを経営しながら男に金をせびられ、ともちゃん(池脇千鶴)も付き合う男が皆暴力を振るい、捨てられてばかりいる。なおこ自身も、地元中学校教師のカシマさん(江口洋介)と密会を繰り返していた。愛情を感じながらも掴み所のないカシマさんの態度に、なおこは戸惑いと孤独を感じていた。 |
『パーマネント野ばら』
・発売日:発売中・発売元:株式会社デイライト/株式会社ショウゲート ・販売元:アミューズソフト ・価格:¥3,800+税 © 2010映画『パーマネント野ばら』製作委員会 |