もしもタイムスリップできたら…そんな妄想をしたことがある人はきっと少なくないはずだ。この映画『テルマエ・ロマエ』は、古代ローマと現代の日本を行き来しながら人々と触れ合い、さまざまなことを学ぶ浴場設計技師・ルシウスと彼を取り巻く人たちを描いた作品である。 |
ルシウスは生真面目な性格のせいで斬新なアイデアが出せず、仕事をクビになってしまう。そんなとき、気分転換にと友人と浴場へ行くのだが、当時の浴場は騒々しく、物思いにふけるなど無理なこと。そこでルシウスは騒がしさから逃れようと湯の中に深く潜る。すると浴槽の底には穴が。そこに手を伸ばした途端、彼はなぜか穴に吸い込まれてしまった。気が付くと、目の前にいたのは平たい顔の人たち。なんとルシウスは、現代日本の銭湯へとタイムスリップしていたのだった。ルシウス役の阿部寛を始め、「濃い顔」の俳優を揃えたこの作品は、今年4月に続編も公開。上戸彩がルシウスを助ける漫画家志望の真実役で共演している。 |
この映画はイタリアでもロケが行われたが、日本では静岡を中心に撮影が進められた。その一つが熱川バナナワニ園。ルシウスが南国風の風呂を作ることになった時、ヒントを得た場所がここである。園内は本園・ワニ園、本園・植物園、分園の3つに分かれており、珍しい熱帯植物や、絶滅の危機に瀕している貴重なワニが見られる。さらに、ニシレッサーパンダやアマゾンマナティといった、日本ではここでしか見ることのできない動物も飼育しており、マナティは4月に50歳を迎えたということだ。 |
また、温泉でもロケが行われた。ルシウスが傷ついた体を癒すシーンは大滝温泉天城荘で撮影。伊豆箱根国立公園の中にあり、露天風呂は高さ30メートルから流れ落ちる大滝を眺めながら入ることができる。この大滝を含め、この地には河津七滝(ななだる)と呼ばれる7つの滝がある。美しい渓流の中にたたずむ「かに滝」、それとは逆に雄大に流れ落ちる「釜滝」、ブロンズ像が『伊豆の踊子』の叙情を醸し出す「初見滝」などそれぞれに特徴があり、癒される。
何千年も先の世界はどうなっているのだろう。まずは温泉にゆっくりつかり、思いをめぐらせてみよう。 |
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監督:武内英樹 古代ローマ帝国の設計技師(風呂専門)の男が浴場のアイデアに悩んだ揚げ句、現代日本の銭湯にタイムスリップするという抱腹絶倒&空前絶後のタイムスリップ風呂漫画「テルマエ・ロマエ」の実写映画版。主役の古代ローマ人・ルシウスを阿部寛、そしてヒロインの漫画家を目指す日本人女性・真実を上戸彩が演じる。脚本は映画『クローズZERO』、ドラマ「電車男」を手掛けた武藤将吾、監督には映画『のだめカンタービレ』、ドラマ「電車男」「神様、もう少しだけ」を手掛けた武内英樹が務める。 古代ローマの浴場設計技師ルシウス(阿部寛)は、生真面目すぎる性格が時代の変化に合わず、職を失ってしまう。落ち込む彼は友人に誘われて訪れた公衆浴場で、突然、現代日本の銭湯にタイムスリップしてしまう。そこで出会ったのは漫画家志望の真実(上戸彩)ら“平たい顔族(=日本人)”だった。日本の風呂文化に衝撃を受けたルシウスは古代ローマに戻り、タイムスリップを繰り返していく。日本の風呂文化のアイデアがローマで大きな話題を呼び、新しい浴場技師としての名声を得ていくのだが…。風呂を愛する二つの民族が出会ったとき、世界の歴史が大きく動き出す!! |
『テルマエ・ロマエ 通常盤』
・発売:フジテレビジョン・販売元:東宝 ・価格:¥3,800+税 © 2012「テルマエ・ロマエ」製作委員会 |