過去のつらい出来事は、どこかで納得したつもりでもやはり完全に忘れることはできない。映画『重力ピエロ』は、ごく普通の家族に起きた悲しい出来事を乗り越え、「最強の家族」として強い絆で結ばれる父とその息子たちの姿を描いた作品である。 |
舞台は宮城県仙台市。放火事件が続き、市民は不安を感じていた。奥野家の次男・春は街に描かれたグラフィックアートを消す仕事をしていたが、彼はそのグラフィックアートがいつも放火事件の現場に近いこと気付く。それを大学で遺伝子の研究をする兄の泉水に伝え、消す前に撮ったアートの写真を見せると、そこに描かれている文字には意味があることが分かった。すべての頭文字をつなげると、遺伝子を形成するA・T・C・Gとなっていることが判明したのだ…。泉水役を加瀬亮、弟の春役を岡田将生、2人の父親役を小日向文世が演じている。また、若くして亡くなった兄弟の母親役として、地元・仙台出身の鈴木京香が出演している。 |
ロケは仙台を中心とする宮城県内で行われた。泉水の通う大学のシーンは東北大学の4つのキャンパスを使って撮影。東日本大震災も経験したが、建物自体は大きな被害を免れ、現在は復興に向けて8つのプロジェクトが動いている。また、一般公開されている施設も多く、大学の歴史が分かる「史料館」、自然豊かな「植物園」、さらには貴重な資料がそろった「附属図書館」、そして、中国の小説家・翻訳家・思想家である魯迅(ろじん)が東北大学で実際に学んだ教室「魯迅の階段教室」などがある。 |
また、幼い頃に春が金賞を取った絵画コンクールの絵が飾られていたのが宮城県美術館。当初は宮城県や東北地方に縁のある作品を中心に収集していた。現在は常設展、特別展のほか、講演会や子供を対象としたワークショップなども行われ、県民にとってより身近な美術館となっている。またこの周辺は紅葉も美しく、秋になると館内の公園も赤や黄色に彩られ、自然が織りなすアートも楽しむことができる。 自然に恵まれ、かつ東北の中心都市でもある宮城県仙台市。この作品に登場する家族のように、さまざまなことがありながらも穏やかな街として、長く人々に愛され続けている。 |
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監督:森 淳一 人気作家・伊坂幸太郎の同名大ベストセラー小説を、様々なアーティストのPVやCMを手掛け、「鹿男あをによし」などをはじめとするTVドラマで活躍している森淳一監督が映画化した。息もつかせぬスリリングな展開とミステリーの枠を超えた力強いながらもみずみずしい人間ドラマが描かれた。主人公の兄弟を演じるのは『劇場版SPEC』シリーズの加瀬亮と『オー! ファーザー』の岡田将生。そのほか、『清須会議』の小日向文世をはじめ、吉高由里子、岡田義徳、渡部篤郎、鈴木京香など豪華俳優陣が揃った。 遺伝子研究をする兄・泉水(加瀬亮)と、落書き消しの仕事をして働く弟の春(岡田将生)は、父と母の溢れるような愛情を受けてすくすくと育った。しかし、この家族には過去につらい出来事を経験していた。7年後、母・梨江子(鈴木京香)の命日にあわせて実家を訪れていた泉水は、父からガンになったと告げられる。その頃、仙台市内では連続放火事件が発生しており、自身が消したグラフィティアートの近くで放火事件が起きていることに気が付いた春は泉水に相談する。果たして放火と落書き(グラフィティアート)にどんな関係があるのかー。 |
『重力ピエロ』
・発売日:発売中・発売元:アスミック・エース ・販売元:KADOKAWA 角川書店 ・価格:¥2,381+税 © 2009「重力ピエロ」製作委員会 |