いい意味でも悪い意味でも「人生、何があるか分からない」とよく言われる。それがよい方へ向かうものであればいいが、時には思いがけない悲しい出来事になってしまうこともあるだろう。『桜並木の満開の下に』は、ある日突然、夫を失った女性が少しずつ悲しみを乗り越えようとする作品である。 |
東日本大震災後の茨城県日立市。小さな工場で働いている栞は同僚の研次と結婚し、幸せな結婚生活を送っていた。研次はその腕のよさが認められて、東京の取引先企業へ派遣されることが決まり、2人暮らしは順風満帆のはずだった。そんなある日、自宅にいた栞に会社から「仕事中の事故で研次が大けがを負い、意識不明だ」という電話が入る。結局、研次はそのまま亡くなってしまい、研次が派遣されることになっていた東京の会社とも取引が途絶え、栞の人生は大きく変わってしまうのだった…。栞を臼田あさ美、研次の命を奪った事故を起こした同僚を三浦貴大が演じている。 |
この映画は、作品の舞台と同じ日立市で撮影が行われた。印象的な満開の桜並木は日立駅から続く「平和通り」。約1キロにわたるこの桜並木は「日本のさくら名所100選」にも選ばれている。毎年4月1日から20日頃にかけて「日立さくらまつり」が開催。期間中は夜になるとライトアップされており、昼間とは違う美しい姿を見ることができるそう。ちなみに、日立市の花は桜。平和通りの桜はソメイヨシノで、約130本が植えられているということだ。 |
また、映画では日立の海辺も登場する。環境省の「快水浴場百選」に選ばれた河原子やJR日立駅から徒歩10分の会瀬など、いずれも夏になると多くの人たちが訪れる海水浴場だ。なお、夏を待たずとも、海に近い日立では時間や季節によって移り変わる海の表情を見ることができる。日立駅をはじめとするさまざまな場所から長い海岸線を望み、寄せては返す波の様子を眺めていると心が優しく癒されそうだ。 人生にはさまざまな出来事がある。栞のようにつらい経験をすることもあるかもしれないが、そこで立ち止まるのではなく、1年をかけて桜が満開になるように、人もゆっくりでもいいから歩みを進め、いつか訪れる喜びや幸せな日を迎える準備をしよう。 |
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監督:舩橋 淳 東日本大震災後の茨城県日立市を舞台に、突然の事故により最愛の夫を失いながらも、その悲しみを乗り越えようとする女性の心の葛藤を描いたラブストーリー。本作を含め、手がけた作品のうち4作品がベルリン国際映画祭に招待されるという快挙を果たして、国際的にも高い評価を受けている舩橋淳が監督を務めた。主演は映画『色即ぜねれいしょん』『映画 鈴木先生』の臼田あさ美。共演には『許されざる者』『永遠の0』の三浦貴大、『マメシバ一郎〜フーテンの芝二郎』の橋洋など実力派俳優が揃った。 小さな工場で働く栞(臼田あさ美)は同僚の研次(橋洋)と結婚し、幸せな結婚生活を送っていた。ところが、作業中の事故により研次が亡くなり、生活は一変してしまう。事故を起こしたのは若い工員、工(三浦貴大)。謝罪しようとする工だったが、栞はそれを受け入れられずにいた。工は研次の死によって経営危機に陥った工場を立て直そうと必死に働く。そんな彼の姿を見ているうちに栞の心も和らぎ始めるのだった。やがて工場が再び軌道に乗り始めた頃、栞は工が工場を辞めることを知る。 |
『桜並木の満開の下に』
・発売日:発売中・発売・販売元:バンダイビジュアル ・価格:¥3,800+税 © 2012『桜並木の満開の下に』製作委員会 |