何かを成し遂げたい、そう思う人は多いかもしれないが、行動に移すとなると多くの困難や苦労が付きまとい、結局、夢のままで終わりがちだ。『まぼろしの邪馬台国』は日本中に邪馬台国ブームを巻き起こした実在の郷土史研究家と、その妻の人生を映画化した作品である。 |
島原鉄道の社長で郷土史家の宮崎康平は、自らが出演したラジオ番組でパーソナリティを務めていた和子と出会う。盲目の宮崎は敏腕経営者で、島原に観光バスを導入。その際、バスガイドの講師として和子を招く。ところが、それからしばらくして、島原が記録的な集中豪雨に襲われる。鉄道の復旧は困難を極めていたが、その中で次々と土器が発掘されたことをきっかけに、宮崎は邪馬台国探しにのめり込んでいく。和子は宮崎の目となり、手助けをするのだった。監督は堤幸彦、宮崎を竹中直人、妻・和子を吉永小百合が演じている。 |
この作品は、佐賀・吉野ヶ里遺跡でも撮影が行われた。国の特別史跡・吉野ヶ里遺跡は吉野ヶ里歴史公園の中にあり、3つの町村にまたがった日本最大の遺跡。約700年にも及ぶ弥生時代の移り変わりを知ることができる場所だ。また、出土品の有柄銅剣やガラス製管玉は国の重要文化財に指定されている。公園ではさまざまなイベントが行われており、石鹸石や琥珀を使用した勾玉づくりなどもあり、楽しみながら歴史に親しめそうだ。 |
また、ここから車で1時間ほどのところには佐賀の名湯・武雄温泉がある。武雄温泉は奈良時代初期に編纂(さん)された「肥前風土記」の中に登場する歴史ある温泉。宮本武蔵やシーボルト、伊達政宗や伊能忠敬などが入浴した記録も残されているという。温泉入口に立つ漆塗りの楼門、天平式楼門はくぎを使っていない建築物。そして温泉は弱アルカリ性で、女性にはうれしい美肌効果が期待できる。 夢の手助けをしてくれる人がいれば、目標達成への想いも強く持ち続けられるだろう。人生もドライブも、時には誰かを助手席に乗せて旅をしてみよう。 |
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監督:堤 幸彦 長崎県・島原鉄道の元役員として島原の発展に尽力する一方、昭和40年代の日本に邪馬台国ブームをもたらした盲目の文学者・宮崎康平と、その妻・和子との絆を描くヒューマン・ドラマ。素人離れした郷土史研究家、文学家、また「島原の子守唄」などの詩作者でもあり、さだまさしの「関白宣言」に影響を与えた人物ともいわれた実在の人物を、『20世紀少年』『天空の蜂』など、ヒット作多数の堤幸彦監督によって映画化。原作は康平と和子が共同で著作し、後年第一回吉川英治文化賞を受賞したベストセラー同名書籍。主演は、俳優のほかミュージシャン、コメディアン、画家と幅広いジャンルで活躍する個性派俳優・竹中直人。日本を代表する女優・吉永小百合と共に夫婦役を演じた。 昭和31年、NHK福岡に勤務する和子(吉永小百合)は、そこに訪れた島原鉄道の役員で郷土史家の宮崎康平(竹中直人)と運命的な出会いを果たす。盲目の康平は、「邪馬台国の実像を知ることが日本人の起源を探ることである」と力説する破天荒な男。そんな彼が始めた島原観光バス事業に、和子はほどなくして雇われることに。だがある時、島原が記録的な集中豪雨にみまわれてしまう。そして鉄道の復旧作業の際、次々と土器が発掘されたことを機に、康平は邪馬台国を探し出すことへ熱中し始めるのだった。また、和子が彼の生涯の伴侶となり、魏志倭人伝、日本書紀、古事記を読み聞かせ、一緒に九州各地を巡りながら康平の目となり、杖となる。こうして、邪馬台国の場所を追究することはいつしか2人の夢となっていく。 |
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『まぼろしの邪馬台国』
・発売日:発売中・発売元:東映ビデオ ・販売元:東映 ・価格:¥3,800円+税 © 2008「まぼろしの邪馬台国」製作委員会 |