映画で観た、あの場所に行ってみよう!ストラーダスクリーン名場面ロケ地ガイド
【今月の映画】虹をつかむ男
古き良き時代が思い出されるロケ地
渥美清の死去により、残念ながら終了した『男はつらいよ』シリーズ。『虹をつかむ男』は渥美清に捧げる作品として、映画が身近にあることのすばらしさを描いた一本である。
就職せずにアルバイトを転々とする亮。そのことで父親とけんかになり、家を出て行ってしまう。あてもなく飛び出してきた彼がたどり着いたのは徳島の小さな町。そこで出会ったのが、映画館・オデオン座を経営する活男だった。町の人に支えられてなんとか続いている映画館だったが、亮はここでアルバイトを始めることになる…。監督は山田洋次、活男を西田敏行が、亮を吉岡秀隆が演じている。ほかにも『男はつらいよ』でおなじみのメンバーが登場し、ファンにはたまらない作品だ。
撮影は映画の舞台でもある徳島県美馬市などで行われた。活男が経営するオデオン座となったのは脇町劇場。1933年に建設され、当初は回り舞台や奈落などを備えた本格的な芝居小屋として使われていた。戦後には映画の上映もされるようになったが、建物の老朽化などから1995年に閉館。その後、取り壊される予定だったが、『虹をつかむ男』のロケ地となったことがきっかけで、町の指定文化財として昭和初期の時代の姿に再建された。現在も、落語会や芝居が行われるなど、町の人たちの憩いの場となっている。
また、映画の中では「うだつの町並み」という言葉が出てくる。脇町劇場のすぐそばにあるこの町並みは、江戸時代の城下町。現在も伝統的な建造物が立ち並んでおり、昔の風情が感じられる場所だ。ちなみに、「うだつ」とはもともと隣家との境につくる防火用の壁のこと。しかし多額の費用をかけて作るため、これが商家の富や成功を表す装飾の意味合いが強くなっていった。現在使われている「うだつが上がらない」という言葉の語源ともなっている。
さまざまな人の生き方や思いを知ることは、発想の転換にもつながる。伝統を大事にする美馬で、亮のように町の人たちと触れ合う旅をしてみてはどうだろう。
ロケ地美馬市の魅力
美馬市には寺町もある。この地には奈良時代に仏教が伝わり、四国で最も早く本格的な寺院が建てられた。国登録有形文化財の願勝寺や西教寺をはじめ、それぞれの寺院に特徴がある。ここでも歴史に触れて街を堪能したい。

●住所:徳島県美馬市脇町大字脇町92(美馬市観光ビューロー)
●TEL:0883-53-8599(美馬市観光ビューロー)
●URL:https://www.mimakankou.com/(美馬市観光ビューロー)
●アクセス:
 電車/JR徳島線・徳島駅→穴吹駅
 車/徳島自動車道・脇町ICより脇町へ
世界一の金持ちの気分よ、今は。
Staff&Cast

監督:山田洋次
出演:西田敏行 吉岡秀隆 倍賞千恵子
前田 吟 柄本 明 永瀬正敏
田中邦衛 田中裕子 他

Introduction

渥美清の急逝に伴い終了となった「男はつらいよ」シリーズに代わって、松竹の正月番組として公開された人情喜劇。監督は山田洋次。『学校U』に続いて西田敏行と吉岡秀隆が主演したほか、渥美清への追悼映画として、「男はつらいよ」のレギュラー陣が総出演。本来は、同キャストで第49作『男はつらいよ 寅次郎花へんろ』が製作される予定であったため、本作にはCG合成で"寅さん"に扮した渥美も登場する。ほか、イタリアの名作『ニュー・シネマ・パラダイス』やミュージカル映画『雨に唄えば』など、数々の名画の断片が登場。映画を愛してやまぬ映画館主をめぐる人間模様が、名画へのオマージュを込めて描かれる。

Story

就職試験に失敗し、家を飛び出して徳島県の小さな町にたどり着いた亮(吉岡秀隆)。亮がそこで出会ったのは、古ぼけた映画館オデオン座の館主である白銀活男(西田敏行)だった。活男は、映写技師の常さん(田中邦衛)とともにこの町の映画のともしびを守っていた。亮はそんなオデオン座でアルバイトを始める。一方、活男は幼なじみで未亡人の八重子(田中裕子)に思いを寄せていた。熱心に学校や公民館への巡回映画に出かける活男。はじめは労働条件に不平を言っていた亮も、次第に活男の情熱に影響されていった。そんな時、活男は八重子が亡夫の同僚と結婚して大阪に行くことを聞かされる。

『虹をつかむ男』
・発売日:発売中
・発売・販売元:松竹
・価格:¥2,800円+税
© 1996松竹株式会社


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