戦国の武将・真田幸村は、ただ幸運に恵まれただけの平凡な男で、語り継がれる数々の伝説も家臣によって誇張された創作やでたらめであった―。2016年の秋に封切りされた映画『真田十勇士』は、「うそから出たまこと」を地でいく、架空のアクション時代劇である。 |
大阪城決戦のロケ地となったのは、和歌山県にある「コスモパーク加太(かだ)」。企業誘致などを目的とした広大な敷地が、合戦シーンの花舞台として選ばれた。ちなみに同用地には、食品メーカーとして有名なカゴメ株式会社が、独自の菜園工場を建設している。 |
史実によると、昌幸・幸村親子は、晩年、和歌山県のほぼ最北端に位置する「九度山」近辺で余生を送っていた。真田家が実際に暮らしていたとされる「真田庵」、大阪方面への抜け穴伝説が残る「真田古墳」など、その足跡は現代でも伺い知ることができる。また、2016年3月には「九度山・真田ミュージアム」も設立された。 九度山エリアの次に外せないのが、国の史跡に指定された「和歌山城」。劇中にも、敵方に当たる徳川家の拠点として度々、登場する。 |
不思議なのは、現地の至る所で「真田堀」という名前が確認できること。城のお堀以外では、真田堀通りや真田堀川といった名が各地に存在している。これは、真田家がかつて和歌山城の普請を請け負っていたため。その時代の名残が、敵地に染み付いて生き残っているのだ。 和歌山県のご当地名物といえば、トンコツベースのしょうゆ味として知られる「和歌山ラーメン」である。実は、和歌山県は国民的調味料といえるしょうゆの発祥地であり、和歌山市から南へ15キロほど離れた湯浅地区では、醸造蔵が並ぶ歴史的な街並みを見ることができる。 ちなみにカゴメが同地に進出したのは、和歌山県がケチャップの消費量全国一だったため。本作の舞台となった紀州では、主役を盛り上げる脇役のエピソードに事欠かないようだ。 |
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監督:堤幸彦 2014年に大ヒットを記録したスペクタクル超大作舞台「真田十勇士」を、『20世紀少年』3部作や『トリック』シリーズの堤幸彦監督によって映画化。主人公・猿飛佐助を演じるのは中村勘九郎。佐助と共に十勇士を支えていくクールな天才忍者・霧隠才蔵は若手No.1の実力派俳優・松坂桃李が演じ、“くノ一”火垂を時代劇初出演の大島優子が演じる。ほか、永山絢斗、加藤和樹、高橋光臣、駿河太郎、村井良大、荒井敦史、望月歩、青木健ら人気若手俳優が結集した。 関ヶ原の戦いから14年。天下統一を目前にした徳川家康と、復権を狙う豊臣家の対立が深まっていた戦国の地で、“天下に並ぶ者なし”の名将として世間から注目を集めていた男・真田幸村(加藤雅也)。しかし実際は、男前な容姿と偶発的な幸運の連続によって勝ちを拾ってきただけの腰抜け男で、自分の実像と虚像に悩んでいた。そんなある日、幸村は抜け忍の猿飛佐助(中村勘九郎)に出会う。嘘とハッタリで幸村を本物の天下一の武将に仕立てあげることを決意した佐助は、同じく抜け忍の霧隠才蔵(松坂桃李)を筆頭に9人の仲間を集め「真田十勇士」を結成する。亡き秀吉の妻に呼び寄せられた幸村と十勇士は、瞬く間に徳川との戦いの最前線に立つことになってしまう。 |
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『真田十勇士 スタンダード・エディション』
・発売日:発売中・発売・販売元:ポニーキャニオン ・価格:¥3,800+税 ©2016「真田十勇士」製作委員会 |