映画で観た、あの場所に行ってみよう!ストラーダスクリーン名場面ロケ地ガイド
【今月の映画】海よりもまだ深く
変化への予感、「自分探し」ができる街
誰もが、なりたかった大人になれるわけじゃない―。2016年封切りの映画『海よりもまだ深く』は、たった一度の受賞歴に執着する売れない小説家が、家族と向き合うことで、違った生き方を受け入れる物語。メインのロケ地として選ばれたのは、是枝裕和監督が実際に住んでいたという清瀬市の「旭が丘団地」だ。作品では、落成以来変わることのないその姿を、状況が固着した主人公の人生に重ね合わせている。
清瀬市といえば、関東屈指ともいえる約10万本のひまわり畑が有名。ほかにも、“ひまわり”にちなむ幾多のイベントやスポットに接することができるだろう。それもそのはず。同市には、「気象衛星ひまわり」のデータを扱う気象衛星センターがあるからだ。この意外な事実に目を向けたのが地元の農家。ひまわりの種は畑の肥料に適しているため、自らが主体となって観光振興 へ参画。野菜類を育むはずの畑が、“なりたかった姿”とは異なる「地域活性化のシンボル」へと変身した。
一方、清瀬駅北側のケヤキ並木に常設されているのが「キヨセケヤキロードギャラリー」。著名なアーティストの作品群24基は、通る者の目を和ませる。しかし本作を通して見るなら、それは、作家による「生みの苦しみ」を映し出した姿だ。映画の中で、主人公の母親である淑子(樹木希林)が言うように、「幸せは、何かを諦めないと手にできない」のかもしれない。ときに執着を断ち、思い込みを捨て、しがらみから離れる―。同ギャラリーには、いわば「断捨離」本来の境地が再現されているのかもしれない。
ケヤキ並木からさらに北上すると、「武蔵野の風と光」をテーマにした「清瀬金山(かなやま)緑地公園」の姿が見えてくる。四季折々の景観が見事な、清瀬市きっての人気スポットだ。園内南部を横切る柳瀬川沿いには散策径が整備されており、そこから川を眺めれば、「ゆく川の流れは絶えずして、しかも、もとの水にあらず」と、方丈記の有名な一節が頭をよぎる。鴨長明(かものちょうめい)が川の流れに例えたように、世の中の状況は常に変化していくけれど、変わることへの勇気、また、変化によって得られる人生の機微を、親子で語り合ってみてはいかがだろうか。
ロケ地・「清瀬市」の魅力
清瀬市の名産は、東京一の生産高を誇るニンジン。ジャムをはじめとする多彩な加工品も、街のあちこちに点在している。清瀬市公認キャラクターの「ニンニンくん」を目印に探索すれば、一味違った魅力に出会えるだろう。

●住所:東京都清瀬市中里5-842(清瀬市役所)
●TEL:042-492-5111(清瀬市役所)
●URL:http://city.kiyose.lg.jp/
●アクセス:
 電車/西武池袋線「清瀬駅」北口から西武バス「志木駅南口行き」(清 62)利用
 約5分、「清瀬市役所」バス停下車すぐ
夢見た未来とちがう今を生きる、元家族の物語
Staff&Cast

監督:是枝裕和
出演:阿部 寛 真木よう子
小林聡美 リリー・フランキー 池松壮亮 吉沢太陽/橋爪 功
樹木希林 他

Introduction

『海街diary』『そして父になる』の是枝裕和監督によるオリジナル脚本作品。大人になりきれない男と年老いた母を中心に、夢見ていた未来とは違う今を生きる家族の姿をつづる。主演は、『歩いても 歩いても』『奇跡』に続き、是枝監督とは3度目のタッグとなる阿部寛。別れた妻を真木よう子が、年老いた母を樹木希林が演じるほか、小林聡美や、リリー・フランキーなど、豪華な顔ぶれがそろう。

Story

笑ってしまうほどの駄目人生を更新中の中年男・良多(阿部寛)。15年前に文学賞を1度取ったきりの“自称・作家”で、今は探偵事務所に勤めているが、周囲にも自分にも「小説のための取材」だと言い訳している。元妻の響子(真木よう子)には愛想を尽かされ、息子・真悟の養育費も満足に払えないくせに、響子に新しい恋人ができたことにショックを受けている。そんな良多の頼みの綱は、団地で気楽な1人暮らしを送る母の淑子(樹木希林)だ。ある日、たまたま淑子の家に居合わせた良多と響子と真悟は、台風のため翌朝まで帰れなくなってしまった。こうして偶然、取り戻した一夜限りの家族の時間が始まるが―。

『海よりもまだ深く』
・発売日:発売中
・発売・販売元:バンダイビジュアル
・価格:¥3,800+税
©2016 フジテレビジョン バンダイビジュアル AOI Pro. ギャガ