『百円の恋』は、山口県で開催されている周南映画祭において脚本賞「松田優作賞」の第一回グランプリを受賞した作品だ。「松田優作賞」は同市出身の名優、故・松田優作の志を受け継ぐクリエイターを発掘すべく設けられた賞。氏にゆかりのある周南市内のほか、横浜や新宿で撮影が行われた。周南市の穏やかな海や街並みにはゆったりとした時間が流れている。主演した安藤サクラも、クランクインで初めて周南の景色を見た日のことを振り返り、「なぜか、この場所で始まるなら絶対に大丈夫だと思いました」と話すほどだ。 |
32歳の“ニート女子”一子と、中年ボクサー狩野が初めてデートで訪れたのは「徳山動物園」。現在、エリアごとにリニューアル計画を進めている園内では、100種以上の動物が飼育されており、自然の生態のまま動物を鑑賞し、触れ合えるような工夫がなされている。この一帯は旧徳山藩主毛利家の屋敷があった場所で、春は桜の名所としても有名。撮影時には現場に緊張感が漂う中、動物たちの“演技”がその仲を取り持ってくれたという裏話も。 |
下松市の笠戸大橋を渡り、県道173号を少し走ると、一子と狩野が微妙な距離を縮められずにいた「はなぐり海水浴場」がある。ここは笠戸島ハイツの下にある人工海水浴場で、潮入りプールや砂の広場もあり、小さな子供も安心して楽しめる。南側には海にせり出した「海上遊歩道」もあり、海の上を歩いているかのような気分を味わえる地元の人気デートスポット。すぐそばには温泉付きの宿泊施設もあるので、家族連れも多く訪れる。また、海水の浸食により穴の開いた、「はなぐり岩」越しに見る夕日が絶景の「夕日岬」も、フォトジェニックな場所。冬場は水面があかね色に染まって、より一層美しい。 |
2人が軽トラックを走らせていた海沿いの道は光市の「室積(むろづみ)海岸」だ。緩やかに弧を描く白砂青松の美しい海岸線が2.4キロメートルにわたって続き、「日本の渚百選」など多くの選定を受けている、西日本屈指の海水浴場。遠浅のビーチは透明度が高くとても奇麗で、眺めているだけでも心癒やされるだろう。運がよければ、海面に夕日が反射する「だるま夕日」を拝められることもあるので、訪れてみては。 |
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監督:武 正晴 松田優作の出身地・山口県で開催されている周南映画祭で、2012年に新設された脚本賞「松田優作賞」第1回グランプリを受賞した足立紳の脚本を、『イン・ザ・ヒーロー』の武正晴監督により映画化し、数々の映画賞を受賞した作品。不器用にしか生きられない主人公・一子を演じるのは、オーディションを勝ち抜いた日本を代表する若手実力派女優・安藤サクラ。恋の相手ともなる中年プロボクサー・狩野祐二役を、話題作への出演が続く新井浩文が演じる。 32歳の一子(安藤サクラ)は実家に引きこもり、自堕落な日々を送っていた。しかし、子連れで実家に帰ってきた妹の二三子と折り合いが悪くなり、仕方なく家を出て一人暮らしを始める。百円ショップで深夜労働にあり着くが、そこは底辺の人間たちの巣窟だった。帰り道にあるボクシングジムで、ストイックに練習する中年ボクサー・狩野(新井浩文)をのぞき見することが唯一の楽しみとなっていた一子。ある夜、狩野が百円ショップに客としてやってきたことをきっかけに2人は距離を縮めていく。なんとなく一緒に住み始め、体を重ねるうちに、一子の中で何かが変わり始めるが、定年前の最後の試合で惨敗を喫した狩野は一子を置いて出ていってしまう。そこで一子は何かを吹っ切るように、自らもボクシングを始める―。 |
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『百円の恋』
・発売日:発売中・発売:東映ビデオ ・販売元:東映 ・価格:¥3,800+税 ©2014 東映ビデオ |