「田園というよりただの田んぼ、私はここで生きているんです」。2004年に公開された映画『下妻物語』は、茨城県の地方都市を舞台に、二人の対称的な女子高生の生きざまを描いたコメディーである。タイトルにある下妻市は、茨城県の西部に位置する実在の街。関東鉄道「下妻駅」から国道125号線を東へ向かえば、パチンコ店やスーパーなど、映画に登場する数々のロケ地を巡ることができる。国道294号との交差点を左折した先に見えるのは、こちらも実在するカフェ「貴族の森」の看板だ。 |
また、東側の川沿いに展開するのは、主人公らがよく訪れる「小貝川ふれあい公園」。自然観察ゾーンやフラワーゾーンなど、テーマごとに分かれた七つのエリアが楽しめるスポットでもある。お子様連れなら、こども広場のローラーすべり台は必見。ほかにも、合計19種類の遊具が用意されている。一方、映画ファンなら、北東方向へ戻りつつ、「騰波ノ江(とばのえ)駅」を目指すのがお勧め。大正時代に開業したという木造駅舎は、本作以外でも映画やミュージックビデオなどのロケ地として使用されている。 |
ラストシーンを飾る牛久大仏へ行く前に、途中の筑波学園都市にも寄り道しておこう。同都市は、国立大学と官民の研究機関がコラボした、日本の最先端を走る街。中には、「宇宙航空研究開発機構筑波宇宙センター」「サイエンス・スクエア つくば」といった、見学可能な施設も存在する。もし、深田恭子演じる竜ヶ崎桃子がこの地まで足を延ばしていたとしたら、何に関心を持っただろう。“ゴスロリ”仕様の宇宙服か、または刺しゅうのオートメーション化か―。 |
さて、茨城県のほぼ南端、浄土真宗東本願寺の霊園内には、ギネス登録された大仏がある。ブロンズ立像として世界最大を誇る「牛久大仏」、その高さ地上約120メートル、胸部85メートルの展望台からは天候次第でスカイツリーや富士山を見ることもできる。全ての者を愛と慈悲の力で救済するという阿弥陀如来。そのお膝元で繰り広げられるバトルシーンだからこそ、同作がよりコミカルなタッチに感じられるのだろう。 |
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監督:中島哲也 原作は、嶽本野ばらによる同名小説。『嫌われ松子の一生』『告白』の中島哲也が、脚本・監督を務める。ロリータ・ファッションが生きがいの高校生・桃子を深田恭子が、桃子とは価値観が真逆のヤンキー娘イチゴを、本作が映画初出演となる土屋アンナが演じる。その他、樹木希林や宮迫博之、篠原涼子など個性的な俳優陣が脇を固める。 舞台は茨城県・下妻。ロリータ・ファッションだけが生きがいの高校生・桃子(深田恭子)は、お洋服を買う資金集めのために偽物のブランド品販売を開始する。しかし、やって来たのは価値観もキャラも真逆のヤンキー娘イチゴ(土屋アンナ)だった。ある日イチゴは、敬愛するレディース・チームの総長・亜樹美の引退パレードのため、代官山にあるという伝説の刺しゅう屋で特攻服に刺しゅうを入れたいと言い出した。しかし店は見つからず、代わりに桃子が入れることになるのだが、その腕前にイチゴは大感激。そんなイチゴの姿を見て、それまで友だちなんかいらないと言っていた桃子も、彼女に友情を感じるようになる―。 |
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『下妻物語 スタンダード★エディション』
・発売日:発売中・発売元:小学館 ・販売元:東映 ・価格:¥3,800+税 ©2004年「下妻物語」製作委員会 |