同名の長編アニメを実写化した映画『心が叫びたがってるんだ。』は、言葉・本音・恋・夢を伝えられない4人の高校生が、心の殻を破っていく物語。そのロケは埼玉県秩父市で行われた。市内を巡れば、映画で見た名シーン・名場面が、各所で散見されるだろう。薫風と初夏の日差しを受け、いざ、セル画、フィルム、そしてリアルな点景の見比べ旅へ。 |
主人公の一人、芳根京子演じる成瀬順は、あるトラウマにより言葉を口にするとお腹が痛くなってしまう高校生。そのトラウマとは、幼いころ自分のおしゃべりがきっかけで両親を離婚させてしまったことによるものだった。そんな悲しい過去を友人へ告白したのが、秩父10番札所にも指定されている萬松山(ばんしょうざん)・大慈寺(だいじじ)だ。映画では言葉を祭る仏閣とされているが、実際の本尊は聖観音。人をあらゆる苦しみから救済する、ありがたい仏様である。 |
西武秩父駅から東方向へ約1キロの位置にある羊山公園もまた、同作では欠かせないスポットといえるだろう。4月中旬から5月上旬にかけた園内では、9種類40万株以上の芝桜が見事な春景色をまとう。そんな芝桜の花言葉は「合意」や「一致」、「臆病な心」など。自分の個性を発揮できない花の姿と、主人公らの心理が、武甲山の麓でクロスオーバーする。園内には、羊山公園の名前の由来となったといわれている、羊との「ふれあい牧場」のほか、「見晴しの丘」「武甲山資料館」などの見どころも盛りだくさんだ。 |
言葉を封じられた成瀬順は、「歌」なら腹痛を発症しないことに気付き、ミュージカルへ挑戦しようとする。本当にやりたい事を仲間へ告白した、バス停近くのコンビニでの名シーン。ここでも、秩父に実在するスポットが使われた。現地には、作品の舞台となったことを記念した「本当の自分行きバス停」というモニュメントが存在する。そこからの行き先が見えたとき、今回の旅の目的は、達成されたといえるだろう。ただし、実際のバスが到発着するわけではないのでご注意を。 |
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監督:熊澤尚人 名作との呼び声高いアニメ「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」の原作者「超平和バスターズ」が再集結し制作された、2015年公開の劇場版アニメーション『心が叫びたがってるんだ。』を、『ニライカナイからの手紙』、『君に届け』などの熊澤尚人監督によって実写映画化。主演を務めるのは「Sexy Zone」の中島健人。その他、芳根京子、石井杏奈、寛 一 郎など若手俳優陣に加え、荒川良々、大塚寧々などベテラン俳優陣が脇を固める。 高校3年生の坂上拓実(中島健人)は「地域ふれあい交流会」の実行委員に任命されてしまう。一緒に任命されたのは、幼いころのトラウマで、他人と話すことができない少女・成瀬順(芳根京子)。そのほか、優等生の仁藤菜月(石井杏奈)、野球部の元エース田崎大樹(寛 一 郎)が選ばれた。担任の思惑で出し物はミュージカルに決定。「ミュージカルは奇跡が起こる」という一言に勇気を出した順は詞を書くことを決意、さらに主役に立候補する。そんな彼女の姿に感化された拓実は曲を付けることに。しかし、当日「やっぱり歌えない」と順は消えてしまい、舞台は主役不在のまま幕を開ける―。 |
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『心が叫びたがってるんだ。』通常盤
・発売日:発売中・発売元:株式会社 フジテレビジョン ・販売元:式会社 アニプレックス ・価格:¥3,800+税 ©2017 映画『心が叫びたがってるんだ。』製作委員会 ©超平和バスターズ |