祭りの華である「曳山(ひきやま)」を守りたい―。2016年公開の映画『人生の約束』では、300年以上の伝統を誇る放生津(ほうじょうづ)八幡宮秋季祭礼の「曳山まつり」をモチーフに、「都会と故郷」「発展と維持」「決別と再会」といったさまざまな対立軸が描かれている。曳山とは山車のことで、映画のロケが行われたのは、実際の祭りの舞台でもある富山県射水(いみず)市周辺。早速、初夏の富山湾を散策してみよう。 |
富山新港の特徴は、内陸へ入り込んだ湾内に位置すること。海沿いの立地から南方を眺めれば、海の向こうに立山連峰がそびえるという、全国でもまれな景色が楽しめるだろう。写真に収めるなら、「新湊大橋」の西側にある「海王丸パーク」がオススメ。「海王丸」とは半世紀以上にわたり地球を約50周してきた帆船で、同施設に係留されている。年に10回行われる総帆展帆(そうはんてんぱん)イベントと併せ、旅行のスケジュールを調整したいところだ。 |
また、この周辺は内川を中心とした水運が発達し、「日本のベニス」とも呼ばれている。一説によると、“イミズ”という地名には「湧出する水」という意味があるのだとか。映画で登場するシーンの数々も散見され、見どころが凝縮したエリアになっている。曳山の一部が展示されている観光施設「川の駅新湊」を基点に、散策の輪を広げてみてはいかがだろうか。遊覧船の受け付けやレンタサイクルの貸し出しなども行っているので、目的に応じて使い分けよう。 |
曳山を知る上で欠かせないのが「放生津八幡宮」。大祭の当日、市内を巡る13基の曳山は、この神社から鮮やかな花に飾られた「花山」の姿で出発し、夜を照らす「提灯山」となって帰ってくる。帰投、あるいは帰郷。それは、帆船・海王丸や映画の主人公らと共通した行動様式として、見る者にデジャビュ(既視感)を与える。いつでも戻れる場所があるからこそチャレンジに挑め、あるいは原点を忘れずにいられるのだろう。大勢の人に支えられて進路を変える曳山は、もしかしたら、今の自分自身なのかもしれない。 |
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監督:石橋 冠 「池中玄太80キロ」シリーズをはじめ、「ラブ・レター」「点と線」など、日本のテレビドラマ界に確固たる地位を築き、日本中に深い感動を届けてきた巨匠・石橋冠の初監督作品。江戸時代から約350年続く富山県の曳山まつりを題材にした本作で主演を務めるのは、竹野内豊。共演には江口洋介を迎える。また、石橋監督の代弁者ともいえる重要な人物を西田敏行が演じるほか、松坂桃李、優香、小池栄子、橋ひかる、柄本明、ビートたけしといった、世代を超えた豪華俳優陣が脇を固める。 会社の拡大にしか興味のないIT関連企業CEO中原祐馬(竹野内豊)の携帯に、共に起業しながらも会社を追い出す形で決別してしまった、かつての親友・航平からここ数日、何度も着信があった。胸騒ぎを覚えた祐馬が航平の故郷へ向かうと、そこで待っていたのは予期せぬ親友の死だった。航平の義兄・鉄也(江口洋介)は航平からの電話を無視し続けた祐馬のことを許すことができず殴りかかってしまう。その場が荒れることを防いだのは、航平の忘れ形見ともいえる娘・瞳(橋ひかる)だった。自分に何かできることはないか、と尋ねる祐馬に、瞳はある頼みごとをする―。 |
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『人生の約束』Blu-ray通常盤
・発売日:発売中・発売元:バップ ・価格:¥5,800+税 ©2016「人生の約束」製作委員会 |