かつての暗殺請負人が、人を斬らない剣の道に目覚めていく映画『るろうに剣心 京都大火編』は、和月伸宏原作の漫画を実写化した作品で、同『伝説の最期編』の前編として2014年夏に公開された。数ある名場面の中でも、とりわけ印象的なのが、滋賀県で撮影された各シーンといえるだろう。古来より交通の要所として栄えてきた湖東の魅力を、土地の銘菓と一緒に味わってみたい。 |
今回のモデルルートでは、琵琶湖東岸に位置する各市町を北から巡っていく。まずは、ご当地キャラ「ひこにゃん」で有名な彦根市へ。国宝・彦根城で撮影されたのは、神木隆之介演じる瀬田宗次郎が馬車に飛び乗った、あの名場面だ。時間が許すなら、多賀大社にも足を延ばしてみたい。見た目が鮮やかで、お土産としても重宝しそうな「糸切餅」は、昔から多くの参拝者に好まれてきた逸品。 |
下って近江八幡市では、川べりの離別シーンをほうふつとさせる八幡堀へ立ち寄りたいところ。市内を流れる水路は、近江商人を支える大動脈として整備された。石畳の小路を散策すれば、当時の風情がうかがい知れるだろう。さて、米どころとして有名な近江の米粉を使ったのが、「ういろ餅」や「ういろ」などと呼ばれる当地の銘菓。石畳の小路に点在する和菓子店でも取り扱っている。 |
古都巡礼のフィナーレは、滋賀県の県庁所在地、大津市で締めくくりたい。映画のオープニングを飾る「鳥羽伏見の戦い」は、長等山園城寺(ながらさんおんじょうじ)、通称“三井寺”の近くで撮影された。また、佐藤健演じる主人公・緋村剣心が逆刃刀を手にするシーンの舞台には、日吉大社の境内が選ばれた。この日吉大社で見掛ける「まさる」という猿は、「魔が去る」縁起にちなんだ神の使いとされている。参拝のお供に、かわいい猿をかたどったもなか菓子「比叡のお猿さん」を同行させてはいかがだろうか。日本人と“斬っても切れない”縁を持つ和菓子は、乱戦の世だからこそ、平和を慈しむ逆刃刀としてあり続けてきたのかもしれない。まさに“和”菓子である。 |
|
|||||||||
監督:大友啓史 和月伸宏の人気コミックを、『プラチナデータ』の大友啓史監督が実写映画化した『るろうに剣心』(2012)の続編。本作は、原作のクライマックスにあたり、人気の高いエピソード「京都編」を描いた2部作の前編。前作に引き続き主人公・剣心役を佐藤健が、ヒロインの神谷薫役を武井咲が演じる。 動乱の幕末で“最強”の伝説を残した男・緋村剣心(佐藤健)。かつては“人斬り抜刀斎”と恐れられたが、新時代を迎えて、神谷薫(武井咲)ら大切な仲間たちと穏やかな日々を送っていた。そんな時、剣心は新政府から、剣心の後継者として“影の人斬り役”を務めた志々雄真実(藤原竜也)を討つよう頼まれる。最大の危機に立つ剣心の元へ駆け付けた薫と仲間たち。だが、志々雄の企てた京都大火の炎の影に、さらに恐るべき陰謀が隠されていた―。 |
||
るろうに剣心 京都大火編 通常版
・発売日:発売中・発売元・販売元:アミューズソフト ・価格:¥2,900+税 ©和月伸宏/集英社 ©2014「るろうに剣心 京都大火」製作委員会 |