迷宮入りの体を成した少女誘拐殺人事件。警察内部では、事件発生の昭和64年にちなみ、「64(ロクヨン)」と呼ばれることとなった―。2016年公開の映画『64-ロクヨン』は、「別冊文藝春秋」に掲載された横山秀夫原作の小説を実写化した作品。実際のロケも原作と同様、主に群馬県内で行われた。その範囲は、前橋市、桐生市、藤岡市、安中市、渋川市など、ほぼ全県ともいえ、同作品のロケ地を巡れば、群馬県の魅力を巡ることができる。早速、代表的なスポットを訪れてみよう。 |
作中で誘拐犯は、身代金の受け渡し場所を次々と変更してくる。これらのシーンにも、群馬県内にある実際の店舗が使われた。中でもひときわユニークなのが、藤岡市にある「ドライブイン七輿(ななこし)」。昭和の時代へタイムスリップしたかのような数々のレトロな自動販売機やゲーム機器が人気を呼んでいる。そのまま富岡市まで西進すると、世界文化遺産に指定された「富岡製糸場」が待ち構えている。利根川水系の鏑川(かぶらがわ)を控え、製糸に必要な大量の水の確保が容易だった同地は、日本の近代化に大きな貢献を果たした。 |
身代金の詰まったスーツケースを川へ投下したシーンは、みどり市にある「東橋」で撮影された。陸路から水路への変更は、ミステリー小説に欠かせないギミックだ。ここでは、渓谷ならではの立地が最大の見せ場となっている。近辺には豊かな水を蓄える「草木湖」があり、自然探索路も整備されている。自然豊かな、まさに「みどり市」のシンボルといえるだろう。 |
一方、スーツケースの回収場所には、渋川市赤城町棚下の利根川岸が選ばれた。渋川市といえば、伊香保の温泉街を外しては語れない。石段のある街並みが、より一層の旅情を添える。世界文化遺産、作品のギミック、湖水の水源、温泉街。これらすべてに深く関わっているのが、別名「板東太郎」と呼ばれる利根川だ。海のない内陸というイメージを持つ群馬県だが、実は、水利の豊かな土地であったことに驚かされる。 |
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監督:瀬々敬久 横山秀夫による同名ミステリー小説を実写映画化した2部作の前編。昭和64年に発生した未解決の少女誘拐殺人事件・通称“ロクヨン”に挑む主人公・三上義信を演じるのは、日本映画界が誇る名優・佐藤浩市。さらに、三上の部下を綾野剛が、三上を支える広報室婦警を榮倉奈々が務める他、県警記者クラブを取りまとめる東洋新聞キャップを瑛太が演じる。その他、永瀬正敏や三浦友和など、ベテランから若手まで主演級の俳優陣が、物語の重要な役柄として出演。監督は『ヘヴンズ ストーリー』などで知られる鬼才・瀬々敬久。 わずか1週間しかなかった昭和64年に起きた少女誘拐未解決事件・通称“ロクヨン”。月日は流れ、平成14年、かつて刑事部の刑事として「ロクヨン」の捜査にも加わっていた三上義信(佐藤浩市)は、今は警務部秘書課広報室広報官のポストにあった。しかし、事件の時効が1年後に迫り、三上は「ロクヨン」事件以来、10数年ぶりに被害者遺族・雨宮(永瀬正敏)の漬物工場を訪れることになる。事件後、妻を病気で亡くし、老け込んでしまった雨宮の姿にがくぜんとする三上。そんな中、県内で少女誘拐事件が発生する。サトウと名乗った犯人は、身代金2000万円をスーツケースに入れ、父親に車で運ぶことを要求した。14年前の「ロクヨン」とまったく同じように―。 |
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『64-前編- 通常盤』
・発売日:発売中・発売元:TBS ・販売元:TCエンタテインメント ・価格:¥3,500+税 ©2016映画「64」製作委員会 |