街の生活から逃げるように生まれ故郷へ帰ったいち子は、自給自足の暮らしを通じて、再びここで生きていこうと決意する―。2015年公開の映画『リトル・フォレスト 冬・春』は、五十嵐大介原作の同名コミックを実写化し、「夏・秋」「冬・春」の2部に分けて劇場公開した完結編。その撮影は、作者がかつて過ごした、岩手県奥州市の衣川大森地区で行われた。 |
同地区にあるキャンプ場「衣川ふるさと自然塾」の管理事務所には、五十嵐大介の原画と共に、映画ロケで使用した小道具が展示されている。もちろんこのキャンプ場もロケ地の一つで、名シーンをほうふつさせる景色が各所に点在している。その一例が「旧大森分校」だ。映画の中では「小森分校」となっているものの、この小森をして『リトル・フォレスト』としたところがタイトルの妙である。なお、11月から3月までは冬季休業となるのでご注意を。 |
さて、周辺地域にも目を向けてみよう。奥州市きってのユニークな施設といえば、前沢に位置する「牛の博物館」だ。前沢牛に限らず、世界中の牛と人間との関わりが学べる、日本唯一の牛専門の博物館である。時期により、体験教室や企画展示も行われているので、牛からいただく肉や乳といった食の恵みを感じ取ってみてはいかがだろうか。また、さまざまな牛グッズを扱うミュージアムショップも見逃せない。ただし、施設内では食事の提供をしていないので、周辺の飲食店を利用しよう。 |
地元の味覚を楽しみたかったら、江刺の「江刺ふるさと市場」がオススメ。奥州市内の生産者による野菜・果物類や農産加工品が市場内を埋め尽くす。1月の旬は、何といっても「江刺産りんご」だろう。表示されている生産者のコメントなどを参考に、お気に入りの逸品を選んでみたいもの。なお、同市場は食堂が完備されているのでご安心を。 どちらかというと食べ物が主役の映画『リトル・フォレスト』。ロケ地のみならず、“ロケ素材”を楽しめるのも、同作の大きな特徴といえるだろう。 |
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監督・脚本:森 淳一 原作は、美しい日本の田舎での自給自足による暮らしを描いた、五十嵐大介の同名コミック。1年間にわたるオール東北ロケを敢行し、日本の四季の魅力を映し出した前後編の後編。主人公のいち子を演じるのは『桐島、部活やめるってよ』の橋本愛。監督は『重力ピエロ』の森淳一が務め、全編の「夏・秋」では描かれなかった、いち子と失踪した母親との関係や、いち子が田舎で独り暮らしをすることになったいきさつなどが明かされる。料理を担当したのは、人気フードディレクター野村友里主宰の「eatrip」。 「小森」は東北のとある村の中の小さな集落。いち子(橋本愛)は、一度街に出て男の人と暮らしたりもしたけれど、自分の居場所を見つけられず、一人でここに戻ってきた。「言葉は当てにならないけど、私の体が感じたことなら信じられる」と思い、稲を育て、畑仕事をし、周りの野山で採った季節の食材から食事を作って食べる毎日。そんなある日、一通の手紙が届く。それは5年前の雪の日に突然、失踪した母・福子(桐島かれん)からの手紙だった―。 |
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『リトル・フォレスト 冬・春』
・発売日:発売中・発売元・販売元:松竹 ・価格:¥3,800+税 ©「リトル・フォレスト」製作委員会 |