加賀藩の料理方である舟木家に育ちながらも、料理への関心を全く示さない跡取り息子の安信(高良健吾)。その元へ嫁いだ春(上戸彩)は、安信の才能を開花させようと、数々の秘策に出るのだが―。2013年12月に公開された映画『武士の献立』は、実在した加賀藩のお料理番で、後に献立書「料理無言抄(りょうりむごんしょう)」を記した舟木家の物語。主なロケが行われたのは、加賀藩の伝統を今に残す、石川県金沢市だ。世界中から注目されるようになった「和食」の神髄を、ぜひ、この機会に味わってみよう。 |
「加賀百万石」の城下町として料亭の多かった金沢市は、戦時中の空襲を免れたこともあり、築100年越えの老舗が散見される。金沢市では、一定要件を満たした料亭や和風旅館を「金沢もてなしの伝統文化資産」に認定し、施設が持つ風情、情緒、佇まいを保存・活用するための奨励金を交付している。中には「ミシュランガイド」の星を獲得している認定店舗も少なくない。カモ肉や地の野菜などにとろみをつけて煮込んだ「治部煮(じぶに)」は、地元で親しまれる加賀料理の定番のうちの一つだ。 |
総務省の「家計調査」によると、金沢市民の「すし」の消費量は全国で第一位(2016年〜2018年平均)とのこと。シビアな舌に選ばれ続けた名店ぞろいとあれば、立ち寄らないわけにはいかないだろう。回転ずしでもクオリティーが高いとされる金沢市だが、やはり、“回らない方”のすしも堪能してみたい。ネタとしてお薦めなのは、白身魚の王様と評される高級魚「ノドグロ」。地元で捕れる「香箱ガニ」の旬は11月過ぎなので注意しよう。 |
再び総務省の統計をひもとくと、金沢市民はお菓子類にも目がないようだ。大分類の「菓子類」はもちろんのこと、「他の和生菓子」という小分類でもトップの座を占める。それもそのはず、金沢には「ひがし茶屋街」「にし茶屋街」「主計町(かずえまち)茶屋街」という三大茶屋街が控えている。中でも、整然とした格子と石畳が続く「ひがし茶屋街」の街並みは、国の「重要伝統的建造物群保存地区」に選定されており、お土産を選びながらの、そぞろ歩きも楽しそうだ。 |
|
|||||||||
監督:朝原雄三 御算用者(経理係)として藩に仕えた「そろばん侍」の家族の生活を描いた『武士の家計簿』に続き、江戸時代の加賀藩を舞台に描くシリーズ第2弾。君主とその家族の食事を賄う役目として仕える「包丁侍」の家族の姿を、『釣りバカ日誌』シリーズの朝原雄三監督が映画化。加賀藩の料理方である舟木家に嫁ぐ“出戻り年上女房”春を演じるのは上戸彩。剣術の腕前は立つが料理の腕前はまるで駄目な“包丁侍”安信を高良健吾が演じる。その他、舟木家の父・伝内を西田敏行、その妻・満を余貴美子が演じる。 優れた味覚と料理の腕を持つが、気の強さがあだとなって一年で離縁されてしまった春(上戸彩)は、ひょんなことから加賀藩の料理方である舟木伝内(西田敏行)に料理の腕を見込まれ「息子の嫁に」と懇願される。伝内たっての願いで、跡取り息子・安信(高良健吾)の元へ嫁ぐことを決意した春。舟木家は代々、藩に仕える“包丁侍”の家であったが、夫となる安信は料理が大の苦手だった。春は、しゅうとめの満(余貴美子)の力も借りながら、必死に夫への料理指南を始める。 |
||
『武士の献立』
・発売日:発売中・発売・販売元:松竹 ・価格:¥3,800+税 © 20172013「武士の献立」製作委員会 |