メーカーに勤める筒井肇(中井貴一)は、知人の死や母の病気がきっかけとなり、50歳を目前に、幼い頃からの夢であった電車の運転手になろうと決意する―。2010年公開の映画『RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語』は、島根県の「松江しんじ湖温泉駅」と「出雲大社前駅」の間を走る一畑(いちばた)電車、通称“バタデン”を舞台とした物語。実在する路線であり、車両内に自転車を持ち込めることでも知られる、今、話題のローカル線だ。 |
東端の「松江しんじ湖温泉駅」は、関東や関西方面からアプローチする場合に最も近い駅となる。近辺には、日本で7番目の大きさを誇る宍道湖(しんじこ)を筆頭とし、温泉街や、「宍道湖七珍(しっちん)」と呼ばれるグルメも存在。魚介類を中心としたそのラインナップは、広大な湖ならではの、“食の豊かさ”を示すインジケーターといえるだろう。中でも特筆すべきものは、全国一の漁獲量とされるシジミで、大ぶりの実が通年にわたり味わえる。 |
宍道湖の湖畔沿いを過ぎると、電車はやがて「雲州平田駅」に到着する。ここには、映画で登場した車両「デハニ50形」を体験運転できる専用コースがある。なお、映画のポスターなども同駅で撮影された。ちなみに「雲州平田駅」と「一畑口駅」に限っては、普通乗車券でも途中下車が可能。スイッチバックのある「一畑口駅」付近では、佐香(さか)神社や一畑薬師などが有名だ。フリーキップ感覚で、近隣のスポットやグルメを楽しもう。 |
いよいよ西端の「出雲大社前駅」へ向かいたいところだが、時間があったら、3駅手前の「高浜駅」に立ち寄ってみたいもの。ここで見られるのは、鳥居の並ぶ粟津稲生(あわずいなり)神社の参道を電車が通過する姿だ。全国でも珍しい風景をカメラへ収めたら、いよいよ神話の国の一丁目一番地、出雲大社へお参りしよう。「大国主大神(おおくにぬしのおおかみ)」を祭った同社は、縁結びスポットとしても注目されている。また、ステンドグラスを配した「出雲大社前駅」の駅舎も見どころの一つ。 |
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監督:錦織良成 日本最古級の一畑電車、通称“バタデン”の運転士になることを決意した男の、夢と家族の物語。50歳目前にして一流企業を辞め、電車の運転士になることを決意した主人公を演じるのは中井貴一。その妻を高島礼子、娘を本仮屋ユイカが演じる。監督は『わさお』の錦織良成。鉄道好きで知られる映画プロデューサー、阿部秀司による製作総指揮の下、細部まで鉄道の描写にこだわって製作された。 一流企業に勤める49歳の筒井肇(中井貴一)は、家庭を顧みず、忙しく仕事に追われる日々を送っていた。会社での立場は確立したが、妻や娘の心は離れるばかり。そんなある日、故郷の島根で一人暮らしをしている母が倒れた、との連絡が入る。追い打ちをかけるように、同期の親友が事故死したという知らせが…。それをきっかけに、仕事一筋の人生に疑問を抱き始めた肇。「俺は、こんな人生を送りたかったのか―」。そして肇は、子供の頃の夢だった一畑電車通称“バタデン”の運転士になることを決意する。 |
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『RAILWAYS【レイルウェイズ】』通常版(Blu-ray)2枚組
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