「そこのみにて光輝く」などで知られる作家・佐藤泰志の同名小説を映画化した『きみの鳥はうたえる』。夏の函館を舞台に、郊外の書店で働く「僕」(柄本佑)と小さなアパートで一緒に暮らす失業中の静雄(染谷将太)、そして「僕」と同じ書店で働く佐知子(石橋静河)ら、3人のかけがえのない時間が描かれる。北海道の南部に位置し、冬は比較的温暖、夏は湿度が低く過ごしやすい函館。さまざまな魅力に溢れるこの街は、旅行先としても高い人気を誇っている。通称“ともえ大橋”こと「函館湾岸大橋」は、全長1924メートルの臨港道路で、同作の1シーンに登場する絶景スポット。海側に歩行者用通路が設けられており、天気のよい日は広大な海を横目に、気持ちよく散歩やランニングが楽しめる。 |
函館といえば、グルメの宝庫でもある。海の幸や山の幸、ラーメンや新鮮な牛乳を使ったデザートまで、北海道ならではのごちそうがめじろ押しだ。海鮮をいただくなら、JR函館駅から徒歩1分の場所にある朝市、「どんぶり横丁市場」を訪れてみよう。ここには19の店舗があり、カニやウニ、いくらなど、海の幸がふんだんに使われたぜいたくな海鮮丼や寿司が食べられる。そのうちの1店舗、「一花亭(いっかてい) たびじ」では、店内のいけすに泳ぐイカを目の前で調理。丼の上で動くほど新鮮な活イカが丸ごと乗った「活イカ踊り丼」が名物だ。透き通った身の甘みと、独特のコリコリとした食感は、活イカならでは。 |
明治2年に建てられた倉庫を改装し、複合施設に生まれ変わった「金森赤レンガ倉庫」では、食事や買い物の他、海辺の景色を眺めながらくつろぐのもオススメだ。エリアは大きく4つに分かれており、チャペルやクルーズ乗り場、カフェが配置された「BAYはこだて」、土産店など20を超える店舗が勢ぞろいした「金森洋物館」、ビアホールのある「函館ヒストリープラザ」、そして、コンサートや演劇等が催される多目的の「金森ホール」と、バラエティーに富んでいる。たっぷりと滞在し、気になるエリアを巡ってみてはいかがだろうか。 |
辺りが暗くなったら、日本を訪れる外国人観光客向けガイドブックのミシュラン・グリーンガイド・ジャポンに、最高評価の三つ星として掲載された「函館山」の夜景へ。まるで手が届きそうなほど目の前に現れる光の渦と、両端に広がる濃紺の海は、心揺さぶられるほどの美しさ。これは函館市を挙げて暮らしや街並みを生かした夜景づくりを目指してきた成果。街灯を温かみのあるオレンジ色に整備したり、歴史ある建物をライトアップしたり、さらには家庭の明かりをパワーアップさせたりと、夜景を引き立たせるための取り組みが実を結んだ。函館山を訪れる際はロープウェイ、バス、タクシーが便利だが、時期によって乗り物の制限が設けられているため事前に公式HPをチェックしておこう。 |
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監督:三宅 唱 『そこのみにて光輝く』などで知られる佐藤泰志による小説の映画化4作目。原作の骨格はそのままに、舞台を東京から函館へ移し、大胆に翻案した。語り手である「僕」を演じるのは、『素敵なダイナマイトスキャンダル』の柄本佑。友人・静雄役を染谷将太、2人の男たちの間を行き来する佐知子役を石橋静河が演じる。監督は『Playback』など意欲作を制作してきた新鋭・三宅唱。3人の若者が過ごす何気ない日常を、かけがえのないきらめきとともに描く。 函館郊外の書店で働く「僕」(柄本佑)は、失業中の静雄(染谷将太)と小さなアパートで共同生活を送っていた。ある日、「僕」は同じ書店で働く佐知子(石橋静河)と、ふとしたきっかけで関係を持つ。彼女は店長の島田(萩原聖人)とも抜き差しならない関係にあるようだが、その日から、毎晩のようにアパートへ遊びに来るようになる。こうして、「僕」、佐知子、静雄の気ままな生活が始まった。佐知子と恋人同士のように振る舞いながら、お互いを束縛せず、静雄と2人で出掛けることを勧める「僕」。次第に気持ちが近づく静雄と佐知子。3人の幸福な日々も終わりの気配を見せていた―。 |
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『きみの鳥はうたえる』
・発売日:発売中・発売元:日活 ・販売元:TCエンタテインメント ・価格:¥3,800+税 ©HAKODATE CINEMA IRIS |