恋に傷ついたOLのつぐみ(榮倉奈々)と、52歳独身の大学教授・海江田(豊川悦司)が、ふとしたきっかけで同居生活を始める。現実から逃げようとするつぐみに対し海江田は言う、「練習だと思って、僕と恋愛しなさい」と―。2014年に封切りされた映画『娚(おとこ)の一生』は、西炯子(にし けいこ)原作による同名コミックの実写版。ロケの多くは、忍びの国として知られる三重県伊賀市近辺で行われた。なお、伊賀市役所は独自にロケ地マップを作成していて、「ロケーションナヴィゲーター伊賀 NAVIGA(ナヴィガ)」などのサイトから閲覧することができる。今回は、それを補完する形で、伊賀市の魅力に触れていこう。 |
劇中でたびたび登場する古民家は、JR西日本関西本線の「佐那具(さなぐ)駅」付近に実在する。設定としては、染色業を営んでいた商家である。実際、この地で作られている「伊賀くみひも」は、経済産業大臣が定める伝統的工芸品に指定されている。美しく染め上げられた絹糸による独特の風合いを持ち、現代ではその技術が、ストラップやアクセサリーなどにも生かされている。くみひも作りを体験できる施設もあるので、興味があれば参加してみよう。 |
「食事と洗濯はつぐみ、まき割りと風呂は海江田担当」という妙な役割分担を受け持った2人。もしかしたらつぐみが作っていたご飯は、土鍋で炊いていたのかもしれない。というのも、伊賀くみひもと同じく伝統的工芸品の指定を受けた「伊賀焼」は、日用品がメインとなった陶器である。近年、“かまど炊きのご飯を再現できる”という土鍋が注目を浴びており、売り上げ80万個以上というヒット商品も出現。ほかにも、耐火性に優れた「伊賀の土」の特性を生かし、数々の機能土鍋が生産されている。 |
もし、年末年始で旅行を予定しているなら、伊賀市一之宮にある敢国神社(あえくにじんじゃ)の獅子神楽は外せない見どころだ。三重県無形民俗文化財に指定されているこの神事は、毎年1月3日、4月17日、12月5日に行われ、複数の舞に分かれる。中でも、眠っている獅子と、てんぐを模した「鼻高」の舞は必見。無事、奉納が終わったら、獅子に頭を“かんで”もらおう。魔よけと無病息災の御利益は、世代の壁すらのみ込んでしまう。 |
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監督:廣木隆一 西炯子の代表作である同名漫画を、榮倉奈々と豊川悦司のダブル主演で映画化。つらい恋愛をしてきた東京のOLを榮倉が、田舎で大学教授をしている50代の男性を豊川がそれぞれ演じ、ちぐはぐな生活を送りながらも互いにゆっくりと向き合っていく姿を描く。その他、安藤サクラや向井理など実力派俳優陣が集結。監督は『余命1ヶ月の花嫁』『ストロボ・エッジ』などを手掛ける、恋愛映画の名手・廣木隆一が務める。 東京で忙しくキャリアを積み、つらい恋愛をしていた堂薗つぐみ(榮倉奈々)は、何もかもに疲れ、仕事を辞めて祖母が暮らす田舎の一軒家でひっそりと暮らし始める。期せずして迎えた祖母の死をきっかけに、そこで独身の大学教授・海江田醇(豊川悦司)と出会う。生前、祖母から鍵を預かっていたという海江田は、つぐみに好意を抱いたと、強引にその家の離れに住み込むことに。最初は年の離れた男性の求愛に戸惑いを感じるつぐみだったが、次第に心を開いていく―。 |
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『娚の一生』』DVD通常版
・発売日:発売中・発売元:ポニーキャニオン/小学館 ・販売元:ポニーキャニオン ・価格:¥3,500+税 ©2018 2015 西炯子・小学館/「娚の一生」製作委員会 |