仙台市で起きた首相暗殺事件の犯人に仕立てられた青柳(堺雅人)は、仲間や元恋人らの協力の元、捜査の目をかいくぐりつつ真犯人に迫っていく―。2010年に公開された映画『ゴールデンスランバー』は、同名の小説を原作としたミステリー大作である。原作者の伊坂幸太郎が仙台在住ということもあり、ロケのほとんどが仙台市内で行われた。なお、同作も含めた映画のロケ地マップは、「せんだい・宮城フィルムコミッション」のサイトから手に入れることができる。そこで今回は、“スクリーンに映らなかったロケ地”の紹介をしてみたい。 |
トップバッターは、仙台市が誇る一大遊園地「八木山ベニーランド」だ。劇中、主人公が「黄金のまどろみ(ゴールデンスランバー)」の中へ落ちるシーンで流れていた軽快なCMソング、これこそが、仙台出身者なら“誰でも歌える”同園のテーマソングである。東京ドーム2個分に迫る敷地内には、約30ものアトラクションがそろい、世代を問わず楽しむことができる。利用には、入園料のほか、アトラクションごとの料金が必要だ。 |
続いてご紹介したいのは、主人公の気持ちに浸れる「杜の都れんが下水洞窟」。仙台市内には、1900年の完成から100年以上たった今でも現役の下水道がある。その一部が、事前予約制により見学可能となっている。下水道の様子は地上から天窓を通して見ることもできるが、ぜひ地下8メートルに設けられた見学用の出入り口まで降りてみよう。歴史的に貴重なれんが造りの下水道は、土木学会選奨土木遺産の神髄がうかがえる。 |
映画の中で登場する花火会社のモデルとなっているのが、仙台市に実在する「芳賀火工(はがかこう)」だ。本作のロケにも協力していて、数々のシーンをリアルに際立たせている。それもそのはず、同社は、国内外の花火大会でさまざまな受賞歴に輝く技術集団なのである。芳賀火工が手掛ける「仙台七夕花火祭」ほか、宮城県内各地で7月から8月にかけて予定されている花火イベントは必見だ。実際のロケ地巡りもいいが、こうした裏舞台をのぞくことで、作品の奥行きが味わえるもの。加えて、定番の観光スポットにプラスワンすることが、震災への支援にもつながるだろう。 |
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監督:中村義洋 2008年本屋大賞、2008年山本周五郎賞を受賞した、伊坂幸太郎の同名小説を映画化。小説の舞台でもある仙台でオールロケが行われ、首相暗殺事件の犯人に仕立て上げられた男の2日間にわたる逃亡劇を描く。主人公の青柳を堺雅人、青柳の元恋人・晴子を竹内結子がそれぞれ演じる他、青柳と晴子の大学時代の友人役に吉岡秀隆と劇団ひとり、青柳を追う警察官役に香川照之を配役。その他、大森南朋、濱田岳、貫地谷しほり、相武紗季、柄本明、伊東四朗といった豪華キャストが集結する。監督は『アヒルと鴨のコインロッカー』『フィッシュストーリー』など伊坂作品の映像化を手掛けてきた中村義洋。 仙台市内で暮らす宅配便のドライバー・青柳(堺雅人)は、平凡な30歳の独身男性。野党初の首相が仙台市内で凱旋(がいせん)パレードを行うその日、青柳は数年ぶりに大学時代の友人・森田(吉岡秀隆)に呼び出され、とにかく逃げろと忠告を受ける。そんな中、爆発音がしたかと思うと、2人が乗っている停車中の車に警察官がためらいなく発砲、青柳は反射的に仙台の街へと逃げていく。爆弾を仕掛けられたラジコンヘリによって首相が暗殺され、見えない巨大な力によって首相暗殺事件の犯人に仕立て上げられた青柳は、厳戒な警備網が敷かれた仙台市内を2日間にわたり逃げ続ける。しかし警察のわなにはまり、ついに投降の時を迎えるが―。 |
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『ゴールデンスランバー』スペシャルプライス版
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