東京から地方へ越してきた人気モデルの美少女・夏芽(小松菜奈)と、その町の神主一族の息子で、強烈なオーラを放つ傲慢(ごうまん)で自由な少年・コウ(菅田将暉)。10代の危うい恋を描いたジョージ朝倉による同名コミックを映画化した『溺れるナイフ』の撮影は全編、和歌山県で行われた。世界遺産にもなっている厳かな自然や情緒豊かな街並みが、映画の世界観をより際立たせている。 |
世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」に登録されている熊野三山。“蘇りの聖地”を詣でる為、平安時代より身分を問わず多くの人がこの地を訪れた。後鳥羽上皇や藤原定家も歩いたとされる「中辺路」は熊野古道のメインルート。石畳が美しい大門坂は、劇中で、ある事件から疎遠になってしまった夏芽とコウが再会した場所として登場した。 |
熊野詣の際に身を清め、旅の疲れを癒やす湯垢離場(ゆごりば)として栄えた湯の峰温泉は、1800年前に開かれた日本最古の温泉。日によって七回も湯の色が変化するといわれている天然の岩風呂「つぼ湯」は、世界遺産に登録されたものの中で唯一、入浴できる公衆浴場だ。また、江戸時代に創業した歴史ある旅館「あづまや」は、夏芽の祖父が経営する旅館として登場。趣のある佇まいは、映画ファンならずとも一度は訪れたい場所だ。 |
劇中の火祭りのモデルとされているのが、毎年2月6日に新宮市の神倉神社で行われる「御燈祭り(おとうまつり)」だ。白装束に身を包んだ上り子と呼ばれる約2000人の男たちが、たいまつを掲げながら538段の石段を一気に駆け下りる。まるで炎の竜がうねりながら山を下る様は圧巻。なお、祭りは女人禁制なので、女性は残念ながら入山は不可。麓の沿道で見学することは可能となっている。 |
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監督:山本結希 ジョージ朝倉による同名少女コミックを実写映画化した青春ラブストーリー。菅田将暉と小松菜奈がW主演を務め、重岡大毅、上白石萌音といった旬な俳優陣が脇を固める。監督は『あの娘が海辺で踊ってる』『5つ数えれば君の夢』などの新鋭女性監督・山本結希。『MOON CHILD』の井土紀州が共同脚本を務め、10代の切なく、熱く、破裂しそうな心を描く。 15歳の夏。東京から遠く離れた浮雲町に越してきた、人気モデルの望月夏芽(小松菜奈)。退屈でウンザリするようなこの町で、夏芽は体を貫くような“閃光(せんこう)”と出会ってしまう。それは、コウと呼ばれる少年・長谷川航一朗(菅田将暉)だった。傲慢(ごうまん)なほどに激しく自由なコウに反発しながらも、どうしようもなく引かれてゆく夏芽。コウもまた、夏芽の美しさに対等な力を感じ、やがて2人は付き合いはじめる。「一緒にいれば無敵!」という予感に満たされる2人。しかし浮雲の夏祭りの夜、すべてを変える事件が起きるのだった。 |
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『溺れるナイフ』
・発売中・発売・販売元:ギャガ (C)ジョージ朝倉/講談社 (C)2016「溺れるナイフ」製作委員会 |