舞台は過疎化と高齢化が進む地方都市。農協職員の江田(平岡祐太)はある日、町で採集した“葉っぱ”を売ろうと動きだす。新事業に参加したシルバー世代の幼なじみら(吉行和子、富司純子、中尾ミエ)は、周囲の冷笑を受けつつ、「もうヒトハナ、咲かそ」と奮戦する―。2012年公開の映画『人生、いろどり』は、徳島県上勝町で起きた、実話に基づいたストーリーだ。映画のタイトルも、今でこそ年収2億円を超えるという「株式会社いろどり」にちなむ。なお、ロケ地マップは、同社や上勝町の公式サイトから入手可能である。そこで、奇跡を起こした上勝町のバックグラウンドを探ってみよう。 |
上勝町ではいくつか面白い取り組みが行われている。地元の木材などを活用した、「上勝アートプロジェクト〜里山の彩生(さいせい)〜」という取り組みでは東京藝術大学教授・日比野克彦氏をはじめとした作家らと地元ボランティアの協業による屋外アートを、町内の各所で観賞することができる。葉っぱビジネスとは別の、地元資源に着目したユニークなアイデアといえる。 |
これまたユニークなのが、上勝自然体験学習研究会による「ヤッホー活動」だろう。自分で見つけた「ヤッホーポイント」を申請し、それが独自のヤマビコ認定士に認められると、晴れて正式なスポットとして登録されるという仕組みだ。申請には、ヤマビコの種類や回数に限らず、“気持ち”の記入も欠かせないらしいので、心して掛かろう。 |
3月中旬から下旬ともなれば、そろそろサクラがいろどりを見せるころだ。同町の名所は、正木ダム公園や「いっきゅう茶屋」周辺、月ヶ谷温泉周辺など。それぞれ、地元の有志が大切に育ててきた銘木に出会えるだろう。なお、2月に行われた映画の撮影では、株式会社いろどりによる早咲きの技術「ふかし」が使われた。 観光資源は観光地に限らない。自分たちが楽しいからこそ、来る人も楽しい。どうやら上勝町の葉っぱビジネスは、起きるべくして起きたのではないだろうか。 |
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監督:御法川修 徳島県の山間にある、高齢化の進んだ上勝町で起きた奇跡の実話を映画化。農協職員の若者が、山で採れる葉っぱを料理の“つまもの”として販売するアイデアを思いつき、70代、80代の女性たちを主戦力に事業を起こした結果、年商2億円以上を稼ぎだすビッグビジネスに成長していく姿を描く。主戦力となる女性たちを演じるのは、吉行和子、富司純子、中尾ミエら、ベテラン女優陣。農協職員の若者を平岡祐太が演じる。監督は『母さんがどんなに僕を嫌いでも』の御法川修が務め、オール上勝町ロケで描かれる。 ミカン産業が全滅し活気を無くした町で、若き農協職員の江田(平岡祐太)は、葉っぱを売ろうと思いつく。町中から猛反対されるも、面白半分で賛同した花恵(富司純子)と、花恵の誘いを断れなかった薫(吉行和子)は、家族に知られないようにこっそりと葉っぱ作りに参加する。しかし、出荷した葉っぱは市場でごみ扱い。落ち込む薫たちに、助言をしたのが花木農家の娘で都会から帰ってきた路子(中尾ミエ)だった。ようやく少しずつ売れ始めたかに思えた矢先、薫のビニールハウスが炎上してしまう。 |
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『人生、いろどり』
・発売中・発売・販売元:アミューズソフト ・価格:DVD ¥3,800+税 (C)2012「人生、いろどり」製作委員会 |