「死を目前にした人間が透けて見える特殊な目」の持ち主、木山慎一郎(神木隆之介)は、恋人の死を予感すると、運命に逆らって助けてしまう。それが自分の寿命を縮める行為だとは知らずに−。2019年公開の映画『フォルトゥナの瞳』に登場するラストシーンは、奈良県に位置する近鉄「橿原(かしはら)神宮前駅」で撮影された。なお、フォルトゥナとは、古代ローマ神話に登場する運命の女神のことである。 |
さて、橿原神宮は1890年、畝傍山(うねびやま)の東南麓に創建された。本殿は京都御所の内侍所(賢所)として明治天皇より下賜されたものを移築しており、国の重要文化財に指定されている。「日本書紀」によれば、紀元前660年に第一代神武天皇が橿原宮(かしはらのみや)で即位されたことから、この地は「日本のはじまりの地」と伝えられている。 |
続いて市内にも目を転じてみよう。橿原市の今井町は重要伝統的建造物群保存地区に指定され、江戸時代そのままの情緒と風情を残す。戦国時代には「海の堺・陸の今井」と称されるほどの繁栄を誇ったという一大商工業都市。注目すべきは、各建物の二階に設けられた「虫籠(むしこ)窓」。それぞれに違いがあるので、注意して見てみよう。また、さまざまな家屋が、カフェや酒蔵、理髪店といった「生活の場」として生かされているところも見どころの一つ。 |
そんな橿原市の夏の風物詩といえば、風鈴の音色。市内に位置する「おふさ観音」では毎年7月1日〜8月31日まで、「風鈴まつり」が開催される。その数2500を超える風鈴から奏でられる楽曲は、「厄払い」の効果もあるとのこと。風鈴の数と皇紀2600年の歴史が、偶然にも重なっている。なお、お土産に風鈴を求めたかったら、風鈴の展示会や即売会で品定め・色定めしてみよう。 |
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監督:三木孝浩 百田尚樹の同名小説を、神木隆之介と有村架純の共演で映画化。『僕等がいた』『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』の三木孝浩が監督を務め、他人の死が見えてしまうという不思議な力を持った青年が、最愛の女性の死に立ち向かう姿を描く。「死を目前にした人間が透けて見える能力」=「フォルトゥナの瞳」を持つ青年役を神木が、その相手役を有村がそれぞれ演じる他、時任三郎、斉藤由貴、北村有起哉、志尊淳、DAIGO、松井愛莉らが脇を固める。 幼少期に飛行機事故で家族を失った慎一郎(神木隆之介)は、友人も恋人も作らず仕事のみに生きてきた。しかしある日、「死を目前にした人間が透けて見える能力」=「フォルトゥナの瞳」を持っていることに気づき、生活が一変してしまう。自分の力に苦悩する日々のなか、偶然入った携帯ショップで葵(有村架純)に出会う。明るく、自分に夢や自信を与えてくれる彼女に心引かれていき、孤独だった慎一郎の人生に初めて彩りが生まれる。互いに引かれ合った2人は幸せな日々を過ごしていくが、それもつかの間、突然、街ゆく人々が次々と透け始めてしまう。 |
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『フォルトゥナの瞳 通常版』
・発売中・発売元:博報堂DYミュージック&ピクチャーズ/アミューズソフト ・販売元:東宝 ・価格:DVD ¥3,800+税 (C)2019「フォルトゥナの瞳」製作委員会 |