北海道の山中で身元不明の男性と犬の遺体が発見された。地元公務員の奥津京介(玉山鉄二)は、事件の真相を明らかにしていく旅の中で、祖父が語っていた「星守る犬」の真意に気付く−。2011年封切りの映画『星守る犬』は、村上たかしによる同名の漫画を原作としている。「旅」を題材とした作品なだけに、そのロケは北日本各地で行われた。青森県弘前市でも「弘前ねぷたまつり」のシーンが撮影されている。 |
青森エリアなどでは“濁音”が用いられる「ねぶた」だが、弘前エリアの場合、“半濁音”の「ねぷた」と発音する。また、屋台の形状や掛け声にも違いがあり、それぞれの存在意義を主張しているかのよう。もともとこの地域の中心地は弘前で、江戸時代には弘前藩が統治していた。都市としての青森に脚光が集まったのは、明治時代以降の話だ。弘前城は今でも見学可能で、四季折々のイベントでにぎわう弘前公園のシンボルとなっている。 |
さらに弘前市内には、旧弘前市立図書館や青森銀行記念館など、明治から大正時代にかけた歴史的建造物が数多く残っている。かつてより、文化の中心を担っていたことの証といえるだろう。もっともこれには、戦時中の「青森大空襲」が関係している。弘前エリアが旧都だったからこそ、戦火を免れたのかもしれない。なお、弘前市は城下町なだけに、弘前城を移動の起点とできることも、観光する上での魅力だ。 |
そして先般、世界遺産に認められた「北海道・北東北の縄文遺跡群」の一角を占めるのが「大森勝山遺跡」である。今から約3000年前に造られたストーンサークルを有すことから、狩猟・採集というイメージの強かった縄文時代でありながらも、「一定期間の居住が行われた」と考えられている。当時、日本の最先端を行く都市であったとしても不思議ではないだろう。 「都会度ランキング」などで比較されがちな青森市と弘前市だが、弘前市の覇権を夢見る人々の願いは、すでに達成されていたのかもしれない。 |
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監督:瀧本智行 31万部を突破した村上たかしのベストセラーコミックを、西田敏行主演で映画化。一家離散からホームレスとなってしまった“おとうさん”が愛犬・ハッピーと旅をする様子を描くロードムービー。おとうさんとハッピーの旅路をたどることになる市役所福祉課の青年・奥津を玉山鉄二、ひょんなことから奥津と出会い、同行する少女・有希を川島海荷が演じる。その他にも、余貴美子、岸本加世子、藤竜也、三浦友和など、実力派俳優陣が脇を固める。監督は、『イキガミ』『犯人に告ぐ』の瀧本智行。 北海道の田舎町、山中に放置された自動車から、死後半年たった中年男性と死後一カ月の犬の遺体が発見される。身元不明の遺体を引き取ることになった地元市役所の福祉課に勤める青年・奥津(玉山鉄二)は、わずかな手掛かりを元に、中年男性と犬の足取りをたどる旅を始める。その道程で出会った少女・有希(川島海荷)と共に調査を進める中で、失業から一家離散を経てホームレスとなった中年男性が、たった一匹の愛犬・ハッピーと旅に出ていた過去が次第に明らかになっていく。 |
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『星守る犬』
・Blu-ray&DVD発売中・発売元:電通 ・販売元:東宝 ・価格:DVD ¥3,800+税、Blu-ray ¥4,700 + 税 (C)2011「星守る犬」製作委員会 |