さだまさし原作、岡田将生、榮倉奈々主演で映画化した『アントキノイノチ』は、心を閉ざした青年・杏平(岡田将生)と過去に傷を持つゆき(榮倉奈々)が、遺品整理という仕事を通して、生と死を見つめ、それぞれの心の再生を図っていく物語だ。過去の痛みを抱えながら、前へ向こうとする繊細な心の動きをどっしりと受け止めるような雄大な自然が印象的だが、物語の重要な鍵となる登山のシーンは、山口県で撮影された。 |
高校時代、杏平が登山部の活動で登った山は、右田ヶ岳という山口県防府市に位置する426mの山。標高はさほど高くないものの、岩肌が露出した迫力ある姿で、県内外から多くの登山客が集う。天徳寺登山口、塚原登山口、塔之岡登山口、勝坂登山口という4つの登山ルートがあり、本作では難易度の高い勝坂ルートでロケが行われた。そそり立つ大岩壁を前にした杏平と彼に悪意を持つ松井(松坂桃李)とのシーンは、目もくらむような景色も相まって、思わず手に汗握ってしまうだろう。 |
さて、そんな右田ヶ岳の山頂には、かつて鎌倉時代末期に大内氏一族の右田氏が築いた山城があった。険しいこの山は天然の要害として、後に長州藩主となった毛利氏もその恩恵にあずかった。防府市内にある毛利氏庭園には、約5万3000uという広大な敷地にひょうたん池を巡る回遊式の庭園があり、園内では梅や桜、ツツジ、ショウブなど季節の花々が楽しめる。また、邸内にある毛利博物館では、毛利家に伝来する国宝や重要文化財など約2万点を所蔵しており、その輝かしい歴史に触れることができる。 |
防府市内から国道9号を通って車で1時間ほどの場所にあるのが、山口県を代表する名勝の一つ、長門峡だ。ここは山口市と萩市にまたがる全長約12kmの渓谷で、巨岩や滝、深淵(しんえん)など変化に富んだ地形に、四季折々の草花が艶やかな色を添える。極彩色に染め上げる紅葉や、桃色に色づく山桜、詩人・中原中也が記した冬景色など、いつ訪れても新たな発見があるはず。 |
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監督:瀬々敬久 『ヘヴンズストーリー』でベルリン国際映画祭2冠を獲得した瀬々敬久監督が、さだまさし原作の同名小説を映画化。「生と死」というテーマを主軸に、苦しみながらも成長していく二人の若者の姿を描く。遺品整理の仕事を通して自らの過去と向き合う青年・杏平を岡田将生が、悲しい過去を持つ杏平の恋人・ゆきを榮倉奈々が演じている。共演には、原田泰造、松坂桃李、檀れい、柄本明ら実力派俳優陣が名を連ねる。 高校時代のある事件がきっかけで、心を閉ざしてしまった永島杏平(岡田将生)。父の紹介で働き始めた「遺品整理業」の現場で、杏平は久保田ゆき(榮倉奈々)と出会う。命が失われた場所で共に過ごす中、次第に心を通わせていく2人だったが、ある日、ゆきは衝撃的な過去を杏平に告げる。そして、彼の前から姿を消してしまう…。 |
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『アントキノイノチ』
・Blu-ray&DVD発売中・発売・販売元:ポニーキャニオン ・価格:DVD ¥4,180(税込)、Blu-ray ¥5,170(税込) (C)2011「アントキノイノチ」製作委員会 |