父が認知症を患っていることを知った仕事一筋の息子・大崎俊介は、崩壊寸前の家族との絆を取り戻そうと、父の故郷へ旅することを提案する−。さだまさしの小説「解夏」に収録された「サクササク」。本作の映画化は、作品に感銘を受けた福井県在住の一人の女性の思いをきっかけに、県の全面協力のもと実現された。 |
劇中で大崎家が訪れた「平泉寺白山神社」は、古くから信仰の対象であった霊峰白山の拠点として、約1300年前に建立された由緒ある神社。京都の“苔寺”こと西芳寺と並び称される境内の美しいコケや、石畳の参道に沿って伸びる杉の木立の風景は、まさに幽玄の世界。大崎家はここで伝統的なお祭り「勝山左義長」の練習に遭遇する。地元の人々に交じり、父・俊太郎が笛を奏でるシーンは本作のハイライトの一つだろう。 |
「平泉寺白山神社」がある勝山市は、恐竜化石の宝庫として全国的にその名が知られている。中でも世界三大恐竜博物館の一つともいわれる「福井県立恐竜博物館」は、4,500uという広大な展示室に、44体もの恐竜骨格やジオラマ、実物化石などが展示されており迫力満点。また、博物館の隣にあるアトラクション施設「かつやまディノパーク」では、実物大の恐竜ロボットがお出迎え。まるで恐竜の森に迷い込んだような興奮を味わえる。 |
俊太郎が幼いころに両親と共に過ごしていた場所を探して、大崎家は敦賀にやってくる。彼らが目的の場所を見つけられたかどうかは本編でお楽しみいただくとして、このエリアをドライブするなら、「三方五湖レインボーライン」がおすすめだ。若狭湾国定公園に位置する長さ約11kmの有料道路で、ラムサール条約湿地に登録された名勝・三方五湖や若狭湾など絶景のパノラマビューが楽しめる。 |
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監督:田中光敏 認知症の父親と家族を顧みず仕事に没頭してきた息子、そしてその家族との再生を描いた、さだまさしの短編小説を映画化。主人公の俊介を緒方直人、妻・昭子を南果歩、父・俊太郎を藤竜也が演じる。さだの小説の映画化は『精霊流し』『解夏』『眉山』『アントキノイノチ』に続いて本作で5作目。『精霊流し』でもメガホンをとった田中光敏が再び監督を務める。さらに、主題歌をさだ自らが担当している。 仕事一筋に生きてきた主人公・俊介(緒形直人)。だが、父親(藤竜也)が認知症を発症したことをきっかけに、これまで避けてきた“家族”と向き合わざるを得なくなる。そこで俊介が見たものは、崩壊寸前の冷え切った家族の姿だった。全てに背を向け続ける妻(南果歩)。何を考えているか分からない子供達。そして次第に薄れゆく父の記憶。そんな父が、日々曖昧になる過去と現実のはざまでつぶやいた故郷の思い出。その言葉を胸に、俊介は強引に家族を連れ出し、父親の故郷へ旅に出るのだった。 |
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『サクラサク』
・発売日:DVD発売中・発売元:東映ビデオ ・販売元:東映 ・価格:5,170円(税込) |