退屈で平凡な毎日を送る男子高校生の純(渡辺大知)は、友人から誘われた隠岐島旅行に、淡い性への期待を抱いていた−。2009年に公開された映画『色即ぜねれいしょん』は、みうらじゅん氏による同名の自伝的小説を原作としている。そのロケは京都府や滋賀県の各地で行われたが、今回は滋賀県に着目してみたい。なお、タイトルの「色即」から連想されるのは、仏教用語の「色即是空(しきそくぜくう)」であろう。モノの形(色)は仮の姿で本来、実態がない(空)らしい。さっそく、滋賀県の「色即是空」を探してみよう。 |
滋賀県の名産といえば、置物のタヌキで有名な信楽焼である。その特徴は、「うわぐすり」を使わずに焼くことにより、陶器ごとに微妙な色合いの変化が生じる点。まきの灰がかかった部分は柿のような「火色」になり、灰に埋まった部分は「黒褐色」に変わるそう。また、耐久性が高く、タヌキのような大型の造作も可能にしている。偶然が生む二つとない逸品を、日頃の食卓に添えてみては。 |
3月といえば、全国的に梅が見ごろを迎える。滋賀県内の梅の名所なら、「彦根城」や「呉竹梅林親水公園」が有名。ほかにも、白梅が見事な「寿長生(すない)の郷」では、老舗による食事や和菓子が「梅の白いじゅうたん」を眺めながら味わえる。梅は桜と違って比較的長く楽しめるものの、「色」の期間が限られているのでお見逃しなく。 |
梅とともに春先の旬を迎えるのがイチゴ。特に日本ではイチゴの品種改良が盛んで約300種に及び、海外からも注目されているほど。滋賀県で多く見かける品種としては、「章姫(あきひめ)」や「かおり野」か。しかし、他県の例を見るまでもなく、いずれ新品種が席巻してくるかもしれない。イチゴの色は時代の「色」。今しか味わえないかもしれない時代の旬を楽しんでみてはいかが。 滋賀県にはかつて、日本の中心に位置づけられていた時代があった。そうした土地の観光そのものが「色即是空」を知る旅だ。琵琶湖に映る景色は常に、色であり空だったのかもしれない。 |
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監督:田口トモロヲ みうらじゅんの自伝的小説を実写化した青春映画。同じみうらの原作である『アイデン&ティティ』でも監督を務めた田口トモロヲが、本作でもメガホンをとる。ロックな生き方に憧れる平凡な高校生のひと夏の出会いと別れ、そして成長を描く。主人公の乾純を演じたのは、本作が映画初出演となるロックバンド「黒猫チェルシー」の渡辺大知。共演には、「銀杏BOYZ」の峯田和伸や「くるり」の岸田繁といった有名ミュージシャンから、リリー・フランキー、大杉漣などの実力派俳優陣まで、多彩な顔触れがそろっている。 安田講堂が陥落し、学生運動も下火になった1974年の京都。仏教系男子校に通う高校一年生の乾純(渡辺大知)は、平凡で欲求不満な日々を過ごしていた。そんなある日、純は友人たちに誘われて、開放的な女性が集まるとうわさの隠岐島のユースホステルへ旅に出ることに。そこで出会ったのは、「世界一自由な場所を作りたい」と夢を熱く語るヘルパーのヒゲゴジラ(峯田和伸)といった個性的な大人たち。彼らと自由で気ままな時間を過ごしていた純は、さらにオリーブと名乗る美少女と出会い一目ぼれしてしまう。 |
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『色即ぜねれいしょん』
・発売日:DVD発売中・発売・販売元:バンダイナムコアーツ ・価格:3,800円 + 税 (C)2009色即ぜねれいしょんズ |