津軽弁“なまり”がコンプレックスとなっていた高校生のいと(駒井蓮)は、引っ込み思案な自分を変えるべくメイドカフェで働き、やがて津軽三味線のミニコンサートを開催するに至った−。2021年公開の映画『いとみち』は、作家・越谷オサムによる同名小説の実写版である。そのロケは全編、津軽地域で行われた。公式「いとみち舞台めぐりマップ」も、弘前観光コンベンション協会のサイトから入手できる。そこで今回は、夏の津軽地方でできる「体験学習」を紹介したい。 |
映画のタイトル『いとみち』とは、三味線を弾いた指にできる溝のこと。もちろん津軽エリアには三味線以外にも、数々の文化や伝統芸能がある。例えば「こぎん刺し」は、江戸時代に生み出された木綿による刺しゅうの技法である。麻の着物しか着ることが許されなかった農村部の女性たちは、木綿でのオシャレを刺しゅうという形で楽しんだ。なお、現在でも「弘前こぎん研究所」などで体験プログラムを楽しめる。 |
また、「津軽藩ねぷた村」では、伝統工芸品である「津軽塗」の製作体験ができる。湯飲み茶わんやリンゴを模した陶器など、手軽に絵付けのできる点が特徴だ。焼き上がった完成品は約3週間後に発送されるとのこと。加えて同施設では「津軽三味線演奏体験」も行っている。事前の申し込みが必要なので、興味のある方はお忘れなく。なお、「津軽藩ねぷた村」とは関係ないが、弘前市内には津軽三味線が聞ける居酒屋があり、冒頭のロケ地MAPに掲載されている。 |
同映画主演の駒井漣は、弘前市に隣接した平川市出身だ。その平川市には国指定名勝の「盛美園」がある。そして今なら、同園内を周遊しながら隠された暗号や秘密を解き明かす「謎解きプログラム!小さな園の大きな秘密」を開催中。手掛かりから「いとみち」ならぬ「すじみち」を付けてみよう。 8月になると、ねぷた一色になる津軽地方。本番を待って訪れるのもいいが、準備に沸くリアルな風景こそ、映画と重なる部分なのかもしれない。 |
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監督:横浜聡子 青森県・津軽を舞台に、メイドカフェで働く人見知りな津軽弁少女の奮闘と成長を描いた青春ドラマ。越谷オサムの同名小説を実写映画化した作品で、『ウルトラミラクルラブストーリー』の横浜聡子監督がメガホンをとる。主人公のいとを演じるのは、『名前』の駒井蓮。共演者として、シングルファーザーで民俗学者の耕一役には豊川悦司、津軽メイド珈琲店の怪しげなオーナーをお笑いタレントの古坂大魔王、シングルマザーの先輩メイドを黒川芽以がそれぞれ演じる。 三味線を弾くときに指にできる“糸道(いとみち)”に名前の由来をもつ相馬いと(駒井蓮)は、青森県弘前の高校に通う高校生。民俗学者の父耕一(豊川悦司)と三味線を弾く祖母(西川洋子)と三人で暮らしている。亡き母から引き継いだ津軽三味線が特技だが、強い津軽弁なまりと人見知りのせいで、本当の自分を誰にも見せられずにいた。そこで、思い切って始めたアルバイト先は、なんとメイドカフェ。そこでの様々な人たちとの出会いにより、いとの日常は徐々に変わり始める。 |
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『いとみち』
・発売日:DVD&Blu-ray発売中・発売元:日活株式会社 ・販売元:株式会社ハピネット・メディアマーケティング ・価格:Blu-ray ¥6,380(税込) DVD¥5,280(税込) (C)2011 越谷オサム/新潮社 (C)2021『いとみち』製作委員会 |