地元の伝統行事「男鹿のナマハゲ」が行われた大みそかの夜、泥酔し、家族から愛想を尽かされてしまったたすく(仲野太賀)は、逃げるように東京へ上京するのだが−。2020年に封切られた映画『泣く子はいねぇが』のタイトルは、ナマハゲが行事中に叫ぶ問答である。なお、映画のロケ地MAPは、観光サイト「男鹿なび」内で配布されている。そこで、男鹿市全体の魅力を追ってみよう。 |
まずは、映画のモチーフであり、ユネスコ無形文化遺産に登録された「男鹿のナマハゲ」について知っておこう。男鹿国定公園の北側に位置する「なまはげ館」は、実際に使われた面や民俗行事の展示企画を行っている博物館的な施設だ。そして、併設の「男鹿真山伝承館」は男鹿地方の典型的な曲家(まがりや)で、実際の習俗が体験できる。その動作一つ一つに「しきたり」があるというから見逃せない。 |
見た目のユニークさという点では、同市の通称「ゴジラ岩」も引けを取らない。潮瀬崎にあるこの奇岩が夕日を飲みこむ様は、各種夕日絶景ランキングの常連になっている。他方、神秘的なつながりで良景を得たいなら、うっそうとした森林の中にあるエメラルドグリーンが鮮やかな湧水「滝の頭」はいかが。周囲からこんこんと湧き出してくる水のせせらぎや、うっそうと生い茂る木々を見ていると、日常を忘れさせてくれる。 |
男鹿地方の観光で外せないのが「男鹿水族館GAO」。男鹿の海の様子を再現している「男鹿の海大水槽」には約2000匹の魚が泳いでいる。また、ホッキョクグマが同館のマスコットとして愛されている。2012年にはメスの「ミルク」(現在は釧路市動物園にて飼育・展示)、2020年にはオスの「フブキ」が産まれた。なお、イベント企画などは都度、公式サイトを確認してほしい。 こうしてみると、秋田県の一地方とは思えないボリュームと濃さに驚く。それはきっと、怠け者や親の言うことを聞かない子には戒めを与えるという「男鹿のナマハゲ」の成果なのだろう。映画の主人公である、たすくがそうであったように。 |
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監督:佐藤快磨 『ガンバレとかうるせぇ』『歩けない僕らは』などの短編で評価が高い佐藤快磨監督の長編劇場デビュー作。『万引き家族』などで知られる是枝裕和監督率いる映像制作者集団「分福」が企画協力し、佐藤監督の地元・秋田の伝統行事「ナマハゲ」を盛り込みながら、大人になっていく20代の若者たちの姿を描く。主人公のたすく役を仲野太賀、ことね役を吉岡里帆が演じる他、寛一郎、山中崇、余貴美子、柳葉敏郎ら実力派俳優陣が顔をそろえる。 秋田県・男鹿半島で暮らすたすく(仲野太賀)は、娘が生まれ喜びの中にいた。一方、妻・ことね(吉岡里帆)は、子供じみて、父になる覚悟が見えない彼にいら立っていた。大みそかの夜、たすくはことねに「酒を飲まずに早く帰る」と約束を交わし、地元の伝統行事「ナマハゲ」に参加する。しかし、酒を断ることができずに泥酔したたすくは、ため込んだものを晴らすように「ナマハゲ」の面をつけたまま全裸で街へ走り出し、その姿をテレビで全国放送されてしまう。ことねに愛想をつかされ、地元にも到底いられず、逃げるように上京したたすくだったが、2年たっても、まだくすぶった生活を送っていた。そんな矢先、親友からことねの近況を聞くのだが…。 |
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『泣く子はいねぇが』(特装限定版)
・発売日:発売中・発売・販売元:バンダイナムコフィルムワークス ・価格:¥6,600(税込) (C)2020「泣く子はいねぇが」製作委員会 |