幕末の動乱期、日本が東西に分かれ争う中で、中立を目指した一人の侍がいた─。長岡藩の家老・河井継之助の生きざまを描いた司馬遼太郎の時代小説「峠」を、『雨あがる』の小泉堯史監督が映画化。継之助を輩出した長岡藩は、新潟県のほぼ真ん中に位置する長岡市・新潟市周辺にあたる。今回は継之助の足跡をたどって長岡を巡ってみよう。 |
まずは役所広司が演じた映画『峠 最後のサムライ』の主人公・河井継之助について。長岡駅から徒歩5分ほどのところにある「河井継之助記念館」では、劇中に登場したガトリング砲をはじめ、継之助ゆかりの品々を見ることができる。旧幕府軍と新政府軍が政権の座をかけて争った戊辰戦争で、どちらにくみすることなく非戦中立を目指した継之助。時代の先を読む目を持ち、類まれなるリーダーシップを発揮した“最後のサムライ”の姿を感じてみよう。 |
地元で「お山」と親しまれている悠久山公園は、2500本の桜が咲き誇る人気のお花見スポットだ。広大な園内には、小動物園や遊具、野球場など子どもが楽しめる施設のほか、高台には継之助や山本五十六、小林虎三郎など郷土の偉人を紹介した長岡市郷土史料館がある。長岡城を模したこの建物4階の天守閣(展望室)から市内や新潟平野が一望できる。 |
長岡駅より車で30分ほどにある山古志は、「泳ぐ宝石」といわれる錦鯉の名産地。江戸時代の中頃より、山古志の地形を生かした棚池で養殖が行われていたという。山の斜面に階段のように連なる棚田と棚池は、継之助の時代から人々が紡いできた歴史である。四季折々でさまざまな表情を見せる美しさは必見。 |
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監督:小泉堯史 司馬遼太郎の長編時代小説『峠』が、初の映画化。世界的視野とリーダーシップで坂本龍馬と並び称され、敵対していた西郷隆盛や勝海舟さえもその死を惜しんだといわれる、知られざる英雄・河井継之助の物語。監督・脚本は、『影武者』など数々の黒澤明作品に助監督として携わってきた小泉堯史。主演の河井継之助を役所広司が演じ、継之助を支える妻、おすがには、松たか子を迎える。役所は、脚本にほれ込み、“理想のリーダー”たる継之助を力強く演じきった。その他、田中泯、香川京子、佐々木蔵之介、永山絢斗、芳根京子、仲代達矢ら演技派のベテランから新進気鋭の若手まで、豪華共演陣が顔をそろえた。 大政奉還が行われた慶応3年(1867年)。260年余りに及んだ徳川幕府は終息を迎え、諸藩は東軍(旧幕府軍)と西軍(明治新政府軍)に二分する。慶応4年、鳥羽・伏見の戦いを皮切りに戊辰戦争が勃発し、越後の小藩、長岡藩の家老・河井継之助(役所広司)は、東軍・西軍いずれにも属さない、スイスのような武装中立を目指す。戦うことが当たり前となっていた武士の時代、継之助は民の暮らしを守るために、戦争を避けようとしたのだ。だが、和平を願って臨んだ談判は決裂。継之助は徳川譜代の大名として義を貫き、西軍と砲火を交えるという決断を下す。妻を愛し、国を思い、戦のない世を願った継之助の、最後の戦いが始まった…。 |
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『峠 最後のサムライ』
・発売日:Blu-ray&DVD発売中・販売・発売元:バップ ・価格:Blu-ray ¥7,480円(税込) DVD ¥4,180円(税込) (C) 2020『峠 最後のサムライ』製作委員会 |