父親の暴力を目の当たりにし、離婚した母親と祖母と3人で住むことになった凪(新津ちせ)。かつての家族の苦い思い出は、彼女に呼吸発作を起こさせる。しかし、新居先の島の住人は全く好対照だった。そんな心の静けさを取り戻す少女の元に、父親が帰ってくるという―。『凪の島』(なぎのしま)は2022年に公開された日本の映画だ。そのメインとなるロケ地は山口県の笠戸島(かさどしま)なのだが、もう少し視界を広げてみよう。合計「22」もある山口県の島には、どんな個性的なスポットが存在しているのだろう。 |
まずは笠戸島だが、本土から笠戸大橋経由で渡ることができる三日月の形をした島である。個性的な観光スポットといえば、やはり、「海上遊歩道」(海上プロムナード)だろう。「はなぐり海水浴場」の南側にあり、全長約300メートル、視線を遠くに移せば、瀬戸内海を直接、歩いているような気分になってくる。また、ヒラメの養殖が盛んで、「ひらめきパーク笠戸島」は、ネコの動物職員がいることでも有名。 |
次は、島の形つながりで、ハート型の祝島(いわいじま)へ渡ってみよう。古くから「神霊の鎮まり給う島」とされ、1000年以上続く神舞神事がいまだに行われている。なお、祝島の名前は「万葉集」にもみられるそうだ。また、町並みに目を転じると、しっくいなどで固めた石塀の立ち並ぶ姿に気づく。風の強い土地柄だからだろうか、島の歴史の重みが増してくるようだ。 キウイの原種で、不老長寿の実といわれる「コッコー」の自生地もあり、パワースポット感が全体に漂う。 |
ほか、歴史的な決闘が行われた巖流島(がんりゅうじま)は、ひし形のような見た目をした小さな無人島である。正式名称は船島というが、下関市長の認定印が押された「巌流島上陸認定証」を購入しておきたいところ。見どころはやはり、決闘の様子を再現した人工海浜や展望広場の武蔵・小次郎像など。 荒れることの少ない瀬戸内海だが物語は多い。映画のタイトルに用いられた「凪」(なぎ)も、海風が陸風へ変わる転換点であって、ストーリーは常に動いている。 |
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監督:長澤雅彦 山口県の瀬戸内にある大自然豊かな島を舞台に、少年少女の心の成長や、子供たちの目を通して描かれる心温まる家族の姿を描く本作品。監督は、『ソウル』『卒業』『13階段』『夜のピクニック』の長澤雅彦。主人公の凪を演じるのはFoorinメンバー(2018-2021)として活動し、『3月のライオン』やNHK連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」などで活躍している新津ちせ。脇を固めるのは、凪の母・原田真央役に加藤ローサ、真央と離婚した凪の父・島尾純也役に徳井義実(チュートリアル)、小学校の用務員として子供たちを見守る山村徳男役に嶋田久作、凪の祖母・原田佳子役に木野花と、個性派・演技派俳優が集結した。 小学4年生の凪(新津ちせ)は、両親が離婚し、母の故郷である山口県の瀬戸内にある小さな島で母と祖母と一緒に暮らすことになった。普段は明るい凪だが、実は心に深い傷を負っていた―。母へ暴力を振るうアルコール依存症の父の姿がフラッシュバックし、時々過呼吸を起こしてしまうのだった。そんな凪を、事情を知った上で何も言わず温かく受け入れてくれる島の住民たち。彼らもまた各々悩みを抱えながらも前向きに生きていた。その悩みを知った凪もまた、彼らを支えようと奔走し、一歩ずつ笑顔を取り戻していく。だが、島での平穏な日々はそんなに長くは続かなかった…。島に突然父がやって来て、「家族に戻りたい」と。その願いを聞いた凪は…。 |
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『凪の島』
・発売日:発売中・発売・販売元:TCエンタテインメント ・価格:¥4,620(税込) (C)2022『凪の島』製作委員会 |