母親の死により歌うことができなくなった高校生の内藤鈴(すず)は、仮想世界の<U(ユー)>に入り、人気歌手「ベル」としてブレイクした。そんなベルのコンサートに突如、現れたのが「竜」と呼ばれる謎の存在。はたして両者の行く末は―。2021年に公開されたアニメ映画『竜とそばかすの姫』は、高知県を舞台のモデルとした、実写並みのリアルさで描きこまれた作品だ。その一例が、シンプルで一直線な橋「浅尾沈下橋」(あそおちんかばし)ではないだろうか。 |
沈下橋とは手すりのない橋のことで、増水時、水の抵抗による崩壊を防ぐ仕組みだ。あたかも沈んだように見えることから「沈下橋」の名がつき、高知県では珍しくない景色である。「浅尾沈下橋」の架かる仁淀川(によどがわ)のほか、JRの車窓から見られる四万十川流域にも点在している。降水量で日本一を誇る高知県ならではの、達観した工夫なのだろう。 なお仁淀川は、川の青さから「仁淀ブルー」の名がつくほどの銘渓だ。残暑がまだ厳しい9月、カヌーやカヤック体験などで得られる涼景は、日頃のストレスをも洗い流す。なお、台風などの情報には敏感になっておこう。降水量、日本一の立地なのだから。 |
こうした川の恵みは、海の魚の滋養ともなる。高知県といえばカツオのタタキが有名で、ワラで表面を焼くことにより独特の甘くて香ばしい風味がする。1年を通して提供されているカツオのタタキだが、一般に、秋の戻りカツオの旬は9月から11月、春の初カツオの旬は3月から5月といわれている。なお、初カツオがあっさりで、戻りカツオはこってりなのだとか。 |
そして、知る人ぞ知る存在が、室戸市を中心としたキンメダイではないだろうか。同市も力を入れていて、いくつかの店舗で「室戸キンメ丼」が味わえる。9月から旬を迎え、キンメダイ以外の地の魚も季節によって加えられるそうだ。いわゆるB級グルメというより、高知の海のごちそう丼と捉えるべきか。予約が必要な場合もあるので、事前に確認しておこう。 海からの湿った空気が雨をもたらし、その雨で海は育つ。我々は、水の循環のわずかな一区切りを、橋の上から眺めているに過ぎない。 |
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監督:細田 守 細田守監督が、『サマーウォーズ』で描いたインターネット世界を舞台に『時をかける少女』以来となる10代の女子高校生をヒロインに迎えた長編アニメーション。母親の死により心に大きな傷を抱えた主人公が、もうひとつの現実と呼ばれる50億人が集うインターネット上の仮想世界<U(ユー)>で大切な存在を見つけ、悩み葛藤しながらも懸命に未来へ歩いていこうとする勇気と希望の物語。主人公すず/ベル役はシンガーソングライターとして活動する中村佳穂が演じ、劇中歌の歌唱や一部作詞等も担当。謎の存在「竜」の声は佐藤健が務め、そのほか成田凌、染谷将太、玉城ティナ、幾田りら、役所広司らが声優として参加した。 自然豊かな高知の田舎に住む17歳の女子高校生・すず(声:中村佳穂)は、幼い頃に母を事故で亡くして以来、大好きな歌を人前で歌うことができなくなっていた。曲を作ることだけが生きる糧となっていたある日、親友に誘われ全世界で50億人以上が集うインターネット上の仮想世界<U(ユー)>に参加することになったすず。<U>では「ベル」という歌姫として世界中の人気者になっていく。しかし、ベルのコンサートの日、突如ベルの前に「竜」と呼ばれる謎の存在が現れる。乱暴で傲慢(ごうまん)な竜によりコンサートはムチャクチャに。そんな竜が抱える大きな傷の秘密を知りたいと近づくベル。一方、竜もまた、ベルの優しい歌声に少しずつ心を開いていく―。 |
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『竜とそばかすの姫』
・発売日:Blu-ray&DVD 好評発売中・発売・販売元:バップ ・価格: Blu-rayスペシャル・エディション:9,680円(税込) Blu-rayスタンダード・エディション:5,280円(税込) DVDスタンダード・エディション:4,180円(税込) (C)2021 スタジオ地図 |