睦月、如月、弥生と続く旧暦の10月は「神無月(かんなづき)」といわれるが、全国の八百万(やおよろず)の神々が集う出雲(島根県)においては、「神在月(かみありづき)」と呼ばれている。そんな日本神話を題材にした本作は、神にささげる“馳走(ちそう)”を集めて出雲へ届ける役割を託された少女カンナの旅と成長を描いた物語だ。今回はカンナの足跡をたどりながら、縁結びの聖地である出雲大社とその周辺のスポットを訪れてみよう。 |
東京から出雲へ─。神の使いの白うさぎをお供に、東京・墨田区にある牛嶋神社から自らの足で出雲大社へ向かうことになったカンナ。距離にすると約800km。徒歩だと約7日、車だと約11時間と壮大な旅だが、劇中では不思議な力により、5日が1時間という時間軸となっている。さて、紆余(うよ)曲折を経て出雲(島根県)にたどり着いたカンナが最初に出会った神様が漁業、商売繁盛の神であるえびす様(事代主神(ことしろぬしのかみ))。松江市にある「美保神社(みほじんじゃ)」は、えびす様の総本宮で、この美保神社と出雲大社に足を運ぶ「両参り」は良縁を結ぶと言われている。神社の周辺には江戸時代より「青石畳通り」や美保関の港町など情緒ある風景が楽しめる。 |
えびす様より馳走をいただいたカンナ一行は、出雲大社の西に位置する「稲佐の浜(いなさのはま)」にやって来る。ここは、大国主大神(おおくにぬしのかみ)と建御雷之男神(たけみかづちのおのかみ)が国譲りの交渉をしたという神話の舞台であり、旧暦10月10日に全国の八百万の神々をお迎えする浜として知られている。そんな神聖な場所であるこの浜の砂を、出雲大社の「素鵞社(そがのやしろ)」に納めると、清められた砂をいただくことができる。庭にまいたり、袋にいれ身に着けたりすると、厄除けやお守りになるといわれているので、ぜひこの浜を訪れたらご利益をいただこう。 |
神々の国・出雲の象徴である出雲大社は、カンナ一行の最終目的地だ。『古事記』にその創建が記されている歴史ある古社は、大国主大神(おおくにぬしのおおかみ)を祀り、あらゆる良縁にご利益があるといわれている。八雲山を背にした境内には厳かな空気が漂っており、神々が集う地であることを肌で感じられるだろう。また、出雲大社に隣接する「島根県立古代出雲歴史博物館」では、巨大神殿だった平安時代の出雲大社本殿の模型をはじめ、神話や伝承がわかりやすく紹介されており、『神在月のこども』の世界をより楽しめるだろう。 |
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原作・コミュニケーション監督:四戸俊成 10月は、全国の神様が出雲に集い、翌年の縁を結ぶ会議を行うため『神無月(かんなづき)』と呼ばれるが、出雲地方では『神在月(かみありづき)』と呼ばれる。そんな神話の地・出雲を舞台にした物語。主人公は、母の他界で、好きだった“走ること”が嫌いになってしまった12歳の少女。その少女が、在る月、まわりはじめた神々の歯車によって、出雲へ向けて走り出す。少女を神域へと誘うのは、一羽のうさぎと、一人の少年。声を宿す出演陣は、“人々は俳優、神々は声優” “ご縁を辿る”という想いから、主人公カンナを蒔田彩珠、神使の兎を坂本真綾、鬼の少年を入野自由が務める。 母を亡くし、大好きだった“走ること”と向き合えなくなった少女カンナ(声:蒔田彩珠)。在る月、カンナが絶望の淵に母の形見に触れたことで、運命が動き出す―。現れたのは神の使いの、うさぎ“シロ”(声:坂本真綾)。シロは、出雲までの旅にカンナを誘う。シロのご縁が、あれば母に会えるという言葉を信じ、出雲への旅にでるカンナ。道中、出会うのは行く手を阻む鬼の子孫、夜叉(声:入野自由)や大小様々な八百万の神々。神無月と書き、全国から神々が姿を消す月を神在月と呼び、神々を迎えてまつる神話の地「島根・出雲」この島国の根と読む場所へ、自分を信じてカンナは走り続けるのだが…。 |
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『神在月のこども』
・発売日:Blu-ray&DVD 好評発売中・発売元:カルチュア・パブリッシャーズ ・販売元:TCエンタテインメント ・価格: スペシャル・エディション Blu-ray 7,480円(税込) スタンダード・エディション Blu-ray 5,170円(税込) スタンダード・エディション DVD 4,180円(税込) (C)2021映画「神在月のこども」製作御縁会 |