もしも若い身体のまま、生き続けられるという選択肢があったとしたら、あなたはその道を選ぶだろうか? ネビュラ賞、ヒューゴー賞など数々の文学賞に輝くケン・リュウの短編小説『円弧(アーク)』を芳根京子主演で映画化した本作は、人類初の永遠の命を得た女性の姿を描いた物語だ。撮影は香川県を中心に行われたが、のどかな風景と現代アートを巧みに組み合わせた“近未来の日本”も見どころのひとつだろう。そこで今回は、『Arc アーク』の世界を彩ったロケ地とともに、「瀬戸内国際芸術祭」の舞台でもある香川のアートスポットをご紹介しよう。 |
3年に1度開かれる「瀬戸内国際芸術祭」は国内最大規模の芸術祭として知られているが、そんなアート県・香川の礎的存在といえば香川県庁東館だろう。世界的建築家、丹下健三が手掛けたこの建物は、伝統的な日本建築の美をコンクリートを用いて表現したほか、戦後の民主主義の精神を体現したモダニズム建築として高く評価されている。劇中では、リナの運命を変えたエターニティ社の建物として使用。猪熊源一郎の陶板壁画「和敬清寂」が飾られる1階ロビーや開放的なピロティなどさまざまな場所が登場する。 |
高松港から女木島経由で船に揺られること約40分。全周約7kmの小さな島・男木島は、急な斜面に連なる家々と、迷路のような入り組んだ路地が特徴的な島だ。島の北端にある男木島灯台は、映画のオープニングで登場。全国的にも珍しい無塗装、総御影石造りの灯台で、国の登録有形文化財に登録されている。 こちらも瀬戸内国際芸術祭の舞台のひとつだが、開催年でなくとも『男木島の魂』や『歩く方舟』など、さまざまなアート作品が楽しめる。なお、集落内に車は入れないので歩いて回ろう。 |
リナ(芳根京子)と天音(岡田将生)がともに暮らした場所として撮影されたのは、オリーブで有名な小豆島。また、療養ホーム“天音の庭”の撮影もここで行われた。劇中、印象的なシーンとなった利仁(小林薫)や芙美(風吹ジュン)らと会した「池田の桟敷」をはじめ、日本3大渓谷美に数えられる「寒霞渓(かんかけい)」、干潮時にのみ現れる「エンジェルロード」などは、まさに自然が生み出した芸術。圧巻の絶景をご堪能あれ。 |
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監督:石川 慶 ネビュラ賞・ヒューゴー賞・世界幻想文学賞の3冠を制覇する作家ケン・リュウの短編小説「円弧(アーク)」を、『愚行録』『蜜蜂と遠雷』『ある男』(第46回 日本アカデミー賞最優秀作品賞)の石川慶が映画化。人類史上初めて永遠の命を得た女性の人生を描く、驚嘆と不思議(=センスオブワンダー)に彩られた壮大なるエンターテインメント。主演の芳根京子が、一人の女性の17歳から100歳以上を繊細かつ大胆に演じた。その他、寺島しのぶ、岡田将生、倍賞千恵子、風吹ジュン、小林薫など豪華演技派共演陣が顔をそろえる。 舞台はそう遠くない未来。17歳で人生に自由を求め、生まれたばかりの息子と別れて放浪生活を送っていたリナ(芳根京子)は、19歳で師となるエマ(寺島しのぶ)と出会い、彼女の下で<ボディワークス>を作るという仕事に就く。それは最愛の存在を亡くした人々のために、遺体を生きていた姿のまま保存できるように施術(プラスティネーション)する仕事であった。エマの弟・天音(岡田将生)はこの技術を発展させ、ついにストップエイジングによる「不老不死」を完成させる。リナはその施術を受けた世界初の女性となり、30歳の身体のまま永遠の人生を生きていくことになるが…。 |
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『Arc アーク』
・発売日:Blu-ray&DVD 好評発売中・発売・販売元:バンダイナムコフィルムワークス ・価格:Blu-ray(特装限定版) 6,380円(税込) DVD 4,180円(税込) (C)2021映画『Arc』製作委員会 |